今年の新語2017大賞「忖度」の不都合な「潜伏期間」―シン・忖度論(2)

こんにちは。日本語中高年のアイドル、ヤシロ小路タケまろです。

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※画像は、【公式】「綾小路きみまろTV」Twitterより

煽り気味にタイトルつけてみました。

三省堂「今年の新語2017」の大賞「忖度」の選評、2. 華麗な変貌を遂げた「忖度」を読んで「ん?」と首を傾げた若かりし日。

あれから40年(ウソ)。

傾げたままの首が元に戻らず服の脱ぎ着もままならないところ、選考委員のおひとりだった飯間浩明さんから「単純に(略)精一杯だった」との証言が思いがけず得られましたので、勝手に追補しておきます。

近年? 変化?

首を傾げたのはこのあたり。※下線は引用者

「有力者に気に入られるための推測」という意味の「忖度」の例が、近年目立つようになりました。

一般になじみのなかった「忖度」という文章語は、今年、日常語として認知されました。使用頻度が突然に高まり、重要度が増しました。意味的、文法的にも変化しました。

とするくだりです。

そうかなあ。「近年」かなあ。「変化」したかなあ。

シン・忖度、前からあった気がするけどなあ。そう思って軽く調べて書いたのがこちらの記事です。

平成の「シン・忖度」論(1)【読書メモ】(2017/12/21)

説明が遅れました。「今年の新語2017」大賞選出理由となった、新しいとされる意味での「忖度」の用法を、当ブログでは「シン・忖度」と呼んでいます。

あれから40年(ウソ)。

こちらの追補も兼ねています。

結論:新しくなかった「シン・忖度」

結論から書きます。

シン・忖度、別に新しくなかった。

これが事実

あらためて、次の2点が明らかとなりました。

  1. 「今年の新語2017」大賞の選評で指摘されていたような「忖度」の用法は、少数例ながらも20世紀半ばまでには確立されていました。
  2. よって「忖度」からの視点では、2017年になってその使い道が広く知られただけです。

忖度を芸人さんぽくなぞらえて言えば、長い長い潜伏期間を経て、2017年にようやく「ブレイク」して「売れた」わけです。

20世紀の「シン・忖度」用例

潜伏期間30年、どころではありません。国会会議録で「忖度」を検索すると、2016年以前でも、合計2000件以上が用例としてヒットします。

ただし正確を期して述べると、大半がひらがな表記の「そんたく」です。漢字の「忖度」は250件強です。かな書きなのは当用漢字でなかったのが理由でしょうか。

2017年になって初めて聞いたという声も多かった「忖度」、国会のなかでは多用されてきたのです。

あれから40年(ウソ)。

そんな国会会議録の「そんたく」から、若かりし頃の「シン・忖度」と認められる例を2つ紹介します。

発言者の藤山は、国会議員の立場のまま会社役員に就いた自分の周囲で「そんたく」が行われることは問題があると認識しているように読めます。旧来の用法どおり、この忖度が単に「心中をおしはかる」「推察」だけの意味なら、問題になるでしょうか。

「開陳された」意見に対して、旧来のやり方では忖度できませんね。おしはかりようがないのですから。

とかやっていこうかともくろんでいたら、既にもう十分なレベルで用例収集をされている方がいらっしゃいました。

1908~1990年の諸文献から、配慮・迎合の意味を含んでいると思われる「忖度」の用例を採集されていました。辞書類からも1981年、1985年、1998年の例が紹介されています。

上記記事はほかならぬ飯間さんからご教示いただきました。

すっかり飯間かされた結果、ついうっかりこんなやり取りとなったのでした。

まとめ

亭主にゃ見飽きた古女房も、好事家にとっては欲情熟女。

国語辞典を編集する方々にも、2017年の「忖度」がすこぶる魅惑的に見えたのでしょうか。

「新しい」ってほんと難しい。

狭い世界で当たり前のように流通していた言葉が、あるきっかけで広く一般に普及した。

でもそれって、新語じゃなくて流行語のカテゴリーじゃないですかね。

そだねー。

おわり

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