新3大・斉藤斎藤の「新感覚な短歌」(マツコ&有吉怒り新党 2015/06/03 OA)ダイジェスト

こんにちは。

昨日(6/3)の「マツコ&有吉の怒り新党」「新・3大○○調査会」のコーナーが面白かったので、散文よりも短く、俳句よりは長めに切り取ってまとめておきました。

新3大・斉藤斎藤の“新感覚な短歌”

さまざまな世界の3大を見つける、新・3大○○調査会。

2015年6月3日の放送は、題して

「日本人が知っておくべき、新3大・斉藤斎藤の新感覚な短歌」でした。

20150604_TKY200805120174

斉藤斎藤さん ※asahi.com(2008/05/13付)より

ちなみに調査会174番目のテーマです。

放送内容をベースに、放送外の情報もいくつか補ってまとめました。

歌の表記について、元の「縦書き」以外は可能な限り踏襲しています(改行など)。

映像提供:NHK

NHKから映像提供を受け、「NHK短歌」出演時のもようをベースにした構成でした。

斉藤斎藤メモ

  1. 現在42歳の歌人
  2. 29歳で本格的に作歌活動を始める
  3. 「NHK短歌」という番組に出演

メモは「5」までありました。残り2つは番組の進行に即して記します。

「NHK短歌」選者(平成25, 26年度) 斉藤斎藤

  • 「短歌人」所属
  • 第一歌集『渡辺のわたし』(2004)
  • 歌葉新人賞受賞
  • 好きな場所は動物園
  • バナナはちょっと苦手です

1.写生系短歌

“そのまんま”すぎることが
新しい! (歌人 永井祐)

初登場回(2013年4月14日放送

「NHK短歌」では、番組の冒頭に作例として(お題にちなんだ)選者の歌が紹介される。

初登場回で紹介されたのがこちら。

雨の県道
あるいてゆけば
なんでしょう
ぶちまけられて
これはのり弁

斉藤斎藤

ワイプ画面の声

マツコ「どほ、えっ いや、♪タララーンララーンじゃないでしょうこれ」

(注)BGMは、ハープ編曲?のA・カルロス・ジョビン《波》でした。

斉藤斎藤本人による解説

「流れのままに、リアルタイムで実況中継のように作った歌なんですね」

この日のお題

この回の「NHK短歌」のお題は、「めざめ・寝起き」(または自由)でした。

特にそのまんまを描いた、2013年11月10日放送回冒頭で紹介の短歌

自動販売機と
ばあさんのたばこ屋が
自動販売機と
自動販売機と
ばあさんに

斉藤斎藤

ワイプ画面の声

マツコ「え?」
有吉「これって腹立つね」
マツコ「そうなのよなんなのよ」

斉藤斎藤による解説

「自動販売機ひとつと窓口におばあさんがいるたばこ屋があって、そのおばあさんが引退をされて、自動販売機2台になってしまったと、そういう写生の歌で」

「見たまんまですね」

意味がわからない人のために

無粋ですが、カギカッコと文言を足して説明します。

要するに、

  • (ビフォー)「自動販売機」と「ばあさんのたばこ屋」が
  • (アフター)「自動販売機」と「自動販売機」と「ばあさん」に

ということです。

「たばこ屋のばあさん」が、「たばこ屋」部分を「自動販売機」に託して普通の「ばあさん」に戻った。そんな「写生」です。

スタジオ戻り

有吉「主流ではないんだよね? とんがってんだよねこの人はね?」

番組で取り上げるオファーをしたところ「新手の詐欺だ!」とビックリしていた(斉藤斎藤メモ4)

有吉「どういう詐欺だ」

マツコ「どういうことなの? それもわかんないんだけど」

夏目「独特の感性でそれもね」

2.ルールギリギリ系短歌

“見えないルール”と戦う
過激な短歌!(歌人 永井祐)

ある回での短歌

地下駅の
エスカレーター
のぼりつめ
おはよう、ハニー
(↑防犯カメラ)

斉藤斎藤

ワイプ画面の声

マツコ「っんだよこれほんともう」

有吉「ああ、上にね」

斉藤斎藤による解説

「駅のエスカレーターでなんか防犯カメラが待ち構えているときありますよね。ちょっとヤケを起こしてハニーなんて言ってみたっていう、そんな歌ですね」

ある回とは

「地下」という題だった、「NHK短歌」2014年7月13日放送分と思われます。

ほかにも

イェーイと言うので
イェーイと言うと
あなたそういう
人じゃないでしょ、と
叱られる

「5・7・5・7・7」ではなく「8・7・7・8・5」

2014年12月14日の放送回での、ルールギリギリ短歌

このうたで
わたしの
言いたかったことを
三十一文字で
あらわしなさい

斉藤斎藤

補注

「三十一文字」は「みそひともじ」と読みます。

斉藤斎藤による解説

「何を言いたかったのか自分でもよくわからなくなっちゃいましてね、読者に丸投げしてしまおうという」

「そういう時もありますね」

司会の“困惑”

司会・濱中博久さんの受け答え

濱中「なかなか意表をつく歌が多いですねやっぱり斉藤斎藤作品は。驚きました」

濱中「さぁ、今日のNHK短歌は(後略)」

20150604_img_hamanaka_snap

※画像は、株式会社ジェイ・ツー > 濱中博久 より

ワイプ画面の声

マツコ「(濱中さんが)気を取り直した」

この日のお題

「ねじれ」

スタジオ戻り

マツコ「基本的にずーっとこういう感じでくり返されてきたのかね短歌ってね」

マツコ「575、8… 何文字が字余りなの?」

有吉「9余らしてみっかぁ、みたいなね。攻めたねぇ~っていう」

マツコ「そのだからあれじゃない、踏み外し加減も、メチャクチャにしたらダメなんじゃない」

有吉「そうだね、難しいね」

感想

非常に的確な批評だと思います。

(2015/06/05 追記)

「イェーイと言うので」で始まる「8・7・7・8・5」が登場したのは、「でも・しかし・けれども(など、逆接の接続詞)」が題だった、2013年7月14日放送分のようです。こちらのブログ記事を参照しました。

斉藤さんがなぜこれを「あり」だと考えているかも、ここを読むとわかります。「だったらそれほどギリギリでもないな」と、見方が一歩進化した気がします。

3.溢れ出る内面系短歌

誰しも抱える“複雑な心情”
斉藤さんのは特に複雑!(歌人 永井祐)

司会の濱中さんも少し困ってしまう

おまえの世界に
存在しない
俺の世界の
ほぼど真ん中
ガムを噛んでいる

斉藤斎藤

斉藤斎藤による解説

斉藤「私の世界は、たとえば濱中さんの世界の中には無いし、濱中さんの世界は、私の世界には無いんだよなぁっていうのを、なんか妙に思っちゃいましてね」

濱中「まあ違う人だということ……」

斉藤「そうですねぇ。でなんかガムとか噛んじゃってねぇ。なんかたいぎょう(大仰)になって申し訳ないですけどね朝からね。そんな歌ですよ、はい」

濱中「そういう歌なんだそうでございますが」

こんな歌も

長くなり
そうな会議の
室温を
23℃に
設定しとけ

2013年5月12日の放送回でのさらに複雑すぎる心情

シースルー
エレベーターを
借り切って
心ゆくまで
土下座がしたい

斉藤斎藤

斉藤斎藤による解説

「誰にともなく土下座がしたいって思うときがあるんですよね。そういう時はシースルーエレベーターかなという、はい。そういう歌です」

「誰かに謝るほどではないことが積み重なっていくっていう感じなんですかね」

濱中「なるほど…… さて、」

ワイプ画面から

有吉(うなずいて、笑顔)

マツコ「ほらまた『さて』」

この日のお題

「エスカレーター・エレベーター」

感想

斉藤さんの「誰かに謝るほどではないことが積み重なっていくっていう感じ」と、それに数回うなずいてから笑みをこぼした有吉さんのリアクションに、私も溢れ出てくるものがありました。

VTR後のスタジオ

マツコ「あれはもう、ちょっとプレイみたいよね」

有吉「二人のやり取り」「楽しんでるよね」

マツコ「ちょっと思ったんだけど。それも感じ取っていいのよね」

夏目「それもご自由ですからね」

有吉「なにぶん短歌にちょっと知識がないもんですから」

夏目「斉藤さんの丸刈りは自分で刈っているそうです」 (斉藤斎藤メモ5)

マツコ「短歌の知識がないっていってあなたその情報を入れるの?」

CM明け

マツコ「なんで短歌をやろうと思ったかっていうのも」

(夏目三久さんの紹介より要約)
1996年早稲田大学卒業後、5年のフリーター生活を経て作歌活動に入る。きっかけは、図書館で偶然出会った『短歌パラダイス』(小林恭二, 1997)。

有吉「斉藤斎藤っていうのが、名前ねぇ」

マツコ「本名はサイトウさんなの?」

夏目「ご本人は、斉藤斎藤という名前は本名で通しています、というふうにおっしゃるんですよね」

有吉「デーモン木暮方式ね」

マツコ「早稲田の先輩だしね」

全体の感想など

とても面白かったので、私も短歌ふうに感想を詠んでみました。

「その先」を見つめようと何周も先へ行ってしまったあげくの感想です。

関連の情報を求めてネットで集めてみると、いろいろつながるものがありました。長くなりますのでそこは記事を分けます。

ご静聴ありがとうございました。

つづく予定

(2015/06/05 追記)

続編記事を2つ書きました。

当記事と合わせて、図らずも「3部作」となりました。

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