発見!一人で「斉唱」できるバカ―日本の新聞

こんにちは。煽り気味にタイトル付けてみました。

今日の特集は「一人で斉唱できるバカ」と題しまして、まだまだ賞味期限の切れない森喜朗さんをいじって遊ぶ日本の新聞を、政治家の手先がいじって遊びます。

この番組は「腐ったラジオ」エフエム東京をキーステーションに、全国27局ネットでお届けしております。

など、ちょいちょいウソを混ぜてお送りします。

今日のオープニング曲、ラジオネーム「いぬっしー」さんからリクエストいただきました。ありがとうございます。

日本の新聞|Ken Mogi(2013/12/17付)

2013年末にスマッシュヒットしたのも記憶に新しい、茂木健一郎さんのアカペラ独唱ナンバー「日本の新聞」。バカヤロー、相変わらず趣旨のわかりにくいブログだなー

この記事で言いたいこと

世の中、「一人で斉唱」できるバカメディアが多すぎます。

疲れます。

でも生きる。バカと生きる。

おことわり

この記事の目的はバカの相手ではなく、縁なきメディアと衆生とが互いに騒がせ騒ぎあうさまをニヤニヤと眺めることで、事態の本質をつかみ、自身に内在するバカと向き合うことに定めております。あらかじめご承知おき願います。

要約:Executive Summary

一部メディアの皆さんへ質問です。

一人で「斉唱」って、どうやるんですか?

あらすじ

  1. リオ五輪選手団の壮行会(7/3)でのあいさつで、森喜朗さんが国歌の「独唱」を「斉唱」と取り違えたようです。
  2. いくら森さんでも独唱を知らないわけはなかろうと、過去の活動記録を探しました。(報告は別途)
  3. 精査すると、明らかに「独唱/斉唱」が区別できていなかったのは、森喜朗さんではなく一部メディアでした。マジかよ。マジだった。
  4. 2016年3月に開かれた自民党大会での「国歌」が「斉唱」だったメディアを晒します。
  5. 森さん発言よりもずっと気がかりな、日本のマスメディアの闇でした。

1.森喜朗さんの「国歌斉唱」発言

既に別の記事に書きました。詳しくはこちらで。

本日(7/9)まで連日3ケタのPVを集めております。「周回遅れ」の議論を大切にしたいものです。

2.森喜朗と「独唱」の検証

調査結果はこちらです。森さん、「独唱」知ってたと思う。

どことなく、記事公開後の展開がこちらへ寄せてきている気さえします。たぶん妄想です。

「バカ大漁」はスルー

ところで、『バカを治す』(適菜収, 2012)の冒頭には、こんなことが書かれています。

バカというのは頭の中にワンクッションがない人たちです。
脊髄(せきずい)反射的というか、モノを考えずに反応する。犬と同じです。

出典:『バカを治す』p.4

インターネットの掲示板にも、スレッドのタイトルだけ見て、頓珍漢(とんちんかん)な書き込みをするような人が大勢います。

まるでその妥当性を裏づけるかのように、今回の森さんの国歌発言に対してもまた、ウナギ、クロマグロ、マサバ、その他海洋水産資源保護の無策を彷彿とさせる、見事なまでのバカの大漁の様相を見せています。

バカを批判しても無駄です。バカは「バカの世界」の住人です。住んでいる「世界」が違うので、共通言語がない。

(p.4)

という話には、若干の異論もまたあります。

けれども私は私のバカをまず治したいので、いまは森さんの発言内容そのものにも、そして適菜さんによる一連の記述にも食いつきません。

検証でわかったこと:メディアのバカ

森さんの「独唱」検証で明らかとなったのは、

  • 世間を騒がせるメディアの側がまずバカであること
  • バカでないメディアもまた、その活動の中でバカの存在を前提としたバカありきの仕掛けを施していること

でした。

したがって一般クソ国民の心得としては、

  • マスメディアは基本的にバカだと認識しておくこと
  • うっかりバカ発信に乗せられないこと

これらが肝要であります。

要は「そうはいかんざき」の精神です。古いわ。

3.「斉唱」ひとりでできるもん!

偶然見つけてしまった「やばいもの」。

ことし(2016年)3月13日に開かれた「第83回 自由民主党大会」で、今井絵理子さんが《君が代》を歌いました。そのときの一部メディアの報じっぷり、それです。それがやばかった。

「独唱」「斉唱」の区別ができていないからです。

まだ半信半疑を味わえる森さんのケースと違い、区別できていないのが明らかなんです。余白ゼロでした。

発見!単身なのに「斉唱」

最初に遭遇したのがこれ。思わずわが目を疑いました。画面キャプチャを付けておきます。

2016-07-06_1003

YouTube > 自民党大会 国歌斉唱する歌手の今井絵理子さん|SankeiNews(2016/03/12付)より

国歌「斉唱」なのこれ? 正気かよ。

コメント欄でも

これ斉唱じゃなく独唱じゃないかなあ。

とツッコまれていました。

【7/10追記】名前も間違ってますね。今井「絵里子」じゃなくて「絵理子」です。さっき気づいた。ダサい。

参考記事:

冒頭につけた別記事へのリンクを再掲します。

「斉唱」と「独唱」の違い、意外と知らない知られてない。(2016/07/05)

両者の違いその他をくそ丁寧に解説しています。知るも知らぬも一時の恥でございます。ご一助になれば幸いです。

公式サイドは「言及なし」

党の大会で今井絵理子さんが(スベり気味に)《君が代》を歌ったくだり、自民党のサイトに載っていた当日の<党大会議事>(進行表)では単に「国歌」となっていました。※PCサイトでの確認

2016-07-06_0949

第83回自由民主党大会(平成28年3月13日)|jimin.jp より

また今井さん本人も、「歌わせていただき」「歌唱できて」としか述べていません。

付記:「斉唱」なら「初めて」じゃない件

ひとつ、イヤらしい指摘をします。

今井絵理子さんは、公の場での国歌「斉唱」なら、少なくとも1999年11月に一度やっています。

その時のもようが、オンラインの動画で確認できました。

出典:天皇陛下御即位十年をお祝いする国民祭典|houshuku.org より

詳しくはこちらの記事の後半に書きました。
【検証】森喜朗さんと国歌「独唱」(2016/07/06)

ですので今井さんのいう

歌手として初めての「君が代」

は、事実関係の記述としてグレーゾーンです。平成11年の祭典では「歌手として」ではなかった、とかいう申し開きなら(詭弁風味を味わいつつ)ニヤニヤと承りますが。

というわけで、「初めての斉唱」と書くメディアがあったら、一語ずつ二重に間違っているという話になります。ここもポイント。

4.今井絵理子 sings 「君が代」仕分け

特定のメディア企業を槍玉にあげて貶める意図はありませんので、自民党大会議事でいう「国歌」のもようを日本のメディアが何と伝えていたかを、極力もらさずチェックすることにしました。

といっても、調査方法は「今井絵理子 国歌」「今井絵理子 君が代」での検索結果をそれぞれ数ページ見る、というゆるいものです。

今井さんが「斉唱」していたのは、確認できた範囲で以下のメディアの皆さんによる記事です。

産経新聞

先ほどの動画が埋め込まれていた記事です。

産経ニュース > 【自民党大会・動画あり】SPEEDの今井絵理子氏が国歌独唱(2016/03/14付)

またお前か。

上記の見出しと本文テキストは、

夏の参院選に比例代表候補として出馬するダンスボーカルグループ「SPEED」の今井絵理子氏が国歌を独唱した。

と、「独唱」となっています。

ところが写真のキャプションが「斉唱」でした。こんな具合です。 ※強調は引用者 以下同じ

20160709_plt1603130027-n1

自民党大会で「君が代」を斉唱した歌手の今井絵理子氏=13日、東京都内のホテル

テキストだけなら、よかったのに

公正を期すために付け加えます。記事のテキストのみを転載し、動画・写真が付いていなかった

イザ!ニュースまとめ > 自民党大会 SPEEDの今井絵理子氏が国歌を独唱(2016/03/13付)

では「独唱」のみでした。結果オーライです。

次からは「斉唱」オンリーです。

東京スポーツ

東スポWeb > 今井絵理子氏が自民党党大会で国歌斉唱 現職議員からは厳しい声も(2016/03/13付)

スポーツニッポン

スポニチ Annex > 今井絵理子が自民党大会で国歌斉唱「光栄」出馬へ「ワクワク」(2016/03/13付)

“人生初”だった国歌斉唱を振り返り「歌手として初めての『君が代』を歌わせていただいて、本当に光栄です。ものすごく緊張しました」。

「“人生初”だった国歌斉唱」ですって。二重におかしいよ。

共同通信

47NEWS > 今井絵理子氏が君が代斉唱 自民党大会で(2016/03/13付)

女性グループ「SPEED」のメンバーで歌手の今井絵理子氏が「君が代」を斉唱した。

主語が単数形だが、どうやるんだ?

今井氏は党大会終了後、記者団に「斉唱は光栄で、ものすごく緊張した。(後略)

本当に「斉唱」と言ったのか? 捏造じゃないのか?

そして厄介なことに、バカは伝染します。

右から来たものを左へ受け流すの歌(2007)
ムーディ勝山
¥200

この配信記事をムーディ勝山さんばりに右から左へ受け流していた新聞社が5社確認できました。

秋田魁新報

今井絵理子氏が君が代斉唱 自民党大会で(2016/03/13付)

静岡新聞

今井絵理子氏が君が代斉唱 自民党大会で(2016/03/13付)

京都新聞

今井絵理子氏が君が代斉唱 自民党大会で(2016/03/13付)

北海道新聞

どうしんウェブ > 今井絵理子氏が君が代斉唱 自民党大会で(2016/03/13付)

こちらは会員限定コンテンツのため本文テキストは参照していません。タイトルの文言が同一であることから配信記事と判断しました。

サンケイスポーツ

SANSPO.COM > 今井絵理子氏、自民党大会で君が代斉唱「選挙は体力勝負、気力勝負」(2016/03/13付)

見出しのテキストが違うので、最初産経ニュースからの転載?と勘違いしました。

本文テキストが、

女性グループ「SPEED」のメンバーで歌手の今井絵理子氏が「君が代」を斉唱した。

今井氏は党大会終了後、記者団に「斉唱は光栄で、ものすごく緊張した。(後略)

と、共同通信の配信記事と一言一句同じでした。うっかり騙されるところだった。

産経新聞からは記事もらわないんですね。面白いです。どっちにしてもバカなんですが。

余談:もう1つの「区別できない問題」

余談です。京都新聞を除き、以上の記事にはどれも共同通信社からの配信記事であることを示すクレジットが何も付いていません(どうしんウェブは未確認)。

出典マニアとしては、そこにもバカを感じます。

端的には、名誉毀損訴訟起こされたらどうすんだよ。という懸念です。自社記事か配信記事かで戦術も変わるだろうに、区別できないってこわいわ。

かつてデイリースポーツが、配信記事だったことに気づかずデタラメな証言を重ねて三浦和義に民事裁判で負けてるんだけど(『弁護士いらず [改定新版]』(三浦和義, 2007)による)、他山の石にしないのね。余談でした。


以上8社の計9紙を、日本斉唱バカ大賞にノミネートしておきます。

「斉唱バカ」圏外のメディアも

次の2つの記事は、残念ながら、日本の新聞「斉唱バカ大賞」ノミネートから外れました。

選外となった理由を添えて紹介します。

スポーツ報知

「斉唱」「独唱」の使い分けがまともです。

参院選立候補・今井絵理子「紅白より緊張」国歌独唱(甲斐毅彦記者の多事放論)(2016/03/14付)

…今井絵理子(32)が13日、都内のホテルで行われた自民党大会で国歌を独唱した。

会場は総立ちになり、今井に合わせるよう斉唱した。

見出しも本文もまともです。ひとつも面白くありません。

ただ惜しむらくは

今井は「公の場で『君が代』を歌うのは初めてで、紅白歌合戦に初めて出場した時より緊張した」と話した。

だけが、事実ではなかった。前述のとおり、今井さんが公の場で君が代を歌ったのは少なくとも2度目です。

今井さんが言ったとおりを文字にしたという主張なら、(発言の裏は取らないんですねという態度で)ニヤニヤして承りますが。

日刊スポーツ

「斉唱を行った」が2つの意味に読めるので選外としました。

〈速報〉今井絵理子が初の国歌独唱に「幸せでした」(2016/03/14付)

女性4人グループ、SPEEDの今井絵理子(32)が、13日に東京・港区のグランドプリンスホテル新高輪で行われた「第83回自由民主党大会」で、「君が代」斉唱を行ったことについて「幸せでした」と感想をつづった。

使い分けができていない気もしつつ、上のスポーツ報知の記事にあったように、会場全体としては「斉唱」だったようです。そこをふまえれば、通用するとは思います。

ただし一般クソ読者に、そのレベルまでのニュアンスを読み取る義務はないです。

5.日本の新聞の闇?

並行して、こんなヤバめな話も目にしました。 ※強調は引用者

さらに不可解だったのが、スポーツ報知だ。3日20時すぎに「森喜朗会長、国歌「斉唱」と「独唱」を勘違い? 選手に強い口調で苦言」というタイトルの記事を打ったのだが、ほどなく削除。

出典:森喜朗が“独唱”を“斉唱”と取り違え五輪代表に「国歌を歌え」! でも政権とネトウヨに怯えるマスコミは一切批判せず(エンジョウトオル)|lite-ra.com(2016/07/04付)

3日時点でそんなヘッドラインの文字列を目にした記憶がありましたが、マジか?

検証してみましょう。

スポーツ報知に飛んでみると、

2016-07-06_1033

マジだった。消えてます。下の画像は、キャッシュから取ったスクリーンショットです。

2016-07-05_0816

引用したテキストのつづき、

まったく違うタイトルの記事に差し替えた。内容も一部修正している。

のくだりも検証します。

この記事のことかな?

2016-07-06_1108

森喜朗会長、「国歌を歌わない選手は、代表じゃない」|スポーツ報知(2016/07/03 23:38付)

けれどもこちらには、削除された記事に付いていた「甲斐毅彦記者の多事放論」の文言が入っておりません。

だからこっちを書いたのは別人じゃないの? 社内の別ルートからの報道の気がするけど。

いずれにしろ、内容をみても

しかしこの壮行会では「国歌独唱」と直前のアナウンスで紹介され、陸上自衛隊中央音楽隊・松永美智子陸士長が「独唱」した。

といった事実関係に基づき

代表選手が歌うべきか、聞くべきか迷ったようだ。

という推測を入れており、指摘されていたような「過剰な自主規制」が実在するかは、疑いを容れる余地があります。

この項まとめ

以上のスポーツ報知の一件に対する見解です。

  • 差し替えではなく「削除」だと思います。
  • たしかに削除は不可解な対応です。
  • それでも現時点で残っている方の記事の伝え方は、萎縮というほどでもないと思います。
  • 今回スポーツ報知に「過剰な自主規制」があったとするなら、それはとりもなおさず、記者の甲斐毅彦さんに属する問題です。

全体まとめ:元からその程度

前掲の

森喜朗が“独唱”を“斉唱”と取り違え五輪代表に「国歌を歌え」! でも政権とネトウヨに怯えるマスコミは一切批判せず|lite-ra.com(2016/07/04付)

で指摘されていた諸点の真相はこうかなと勘ぐっています。引用を入れてのQ&A方式で進めます。

いったい、メディアのこの及び腰はどういうことなのか。

一人で「斉唱」できることに由来すると思います。

要は「斉唱じゃなくて独唱だよ」という高度な議論についていけなかったのです。

大袈裟な話ではなく、メディアの萎縮が相当ヤバいところまで来ている。

いや、大げさな話です。「外部から何らかの圧を受けての萎縮」としなくても、ストーリーが成立するからです。

自民党大会で国歌を歌った今井絵理子さんの報道からも明らかなように、メディアは遅くともこの3月には萎縮していました。ただしそれは、メディア自身の内的な要因による萎縮・減退です。

早い話が、発信する側の日本語運用能力が低いのです。

「相当ヤバいとこまで来ている」とも言えるかもしれないけれど、能力的に「もとよりその程度だった」ってのが、より真相に近いもの言いなんじゃないかな。

次回予告:そしてJOCもバカ

もう1つ興味深い事実が判明しました。一部メディアだけではなく、今回の騒ぎの端緒となったJOCもまた「一人で斉唱できるバカ」でした。

森さんの主張する「案内状では斉唱だった」も、それが事実ならば、「JOCの事務方が区別できてなかった」ととらえるとすべて説明がつきます。次はこの点を検証します。

そもそも「斉唱」「独唱」ってなに?

そんな周回遅れの議論が、まったくバカにできないのであります。


以上そんなこんなで、世間を騒がせることが商売のメディアと、乗せられて騒ぐのが大好きな世間の一部とは明確な一線を画してお届けしました。

ご静聴ありがとうございました。

偽善者(1989)
THE TIMERS
¥250

と見せかけてからの~

エフエム東京~ 腐ったラジオ~

なにが世界を結ぶニュースセンターだ~↓

2016-07-09_1649

エフエム仙台おらぁ

ざまあみやがれ

2021/08追記

この記事の公開当時からいまは考えがほぼ180度変わっていて、「一人で斉唱」でもいいかなと思ってます。

前編

中編

後編

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