「目玉ロゴ問題」にマジレス、カッコ悪い。―「神戸アニメストリートvs.村上隆・カイカイキキ」レビュー

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こんにちは。デザイン芸人「デザインや」です。

世のパクリ/パクられ問題はどのようにして起こるのか? その背後には何が潜んでいるのか? 問題の発生構造と機序を探るため、「ふりかえり」「ケーススタディ」として記録しておきます。

例の「目玉ロゴ」の件です。

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※画像はkobe-anist.comより

例の「目玉ロゴ」の件

ネット上のニュース記事では、

今度は神戸「目玉ロゴ」が村上隆作品の「パクリ」? ネットで「似ている」「言いがかり」と議論噴出の騒ぎ |J-CASTニュース(2015/12/08付)

が、よくまとまっていました。取材に基づき当事者両サイドのコメントを載せ、かつポイントが網羅されていたように思います。

またこの案件は、

ちなみに当の村上さんはツイッターで、当件に関連した自身に批判的なツイートを1つ1つリツイート(拡散)しているが、その真意は不明だ。
(同記事より)

という側面も話題となりました。ただし「1つ1つ」は記述の正確さに欠けます。詳しくは後述します。

結論:Executive Summary

先に結論を書きます。本件に関しては誰も悪くないです。ただ、第三者の吹け上がったマジレスだけがカッコ悪いと思います。

もう少し詳しく説明します。

まず、神戸アニメストリートはまったく悪くありません。似てはいますがパクっていないからです。その点では、TOKYO 2020の「佐野エンブレム」と同じです。

次に、(有)カイカイキキならびに村上隆さんも悪くありません。自らの権利を主張すること自体は何ら非難される話ではありません。たとえそれが第三者の目に「言いがかり」に映ってもです。

両者の合意事項は、双方の利害を十分に調整し、互いの満足度を極大化できているように私には見えます。そこへ外野が口をはさむのは、野暮というものです。

とはいえ、第三者があれこれ言うことも悪くありません。それも自由の範疇だからです。

ただしどのような言明であれ、吹け上がったマジレスだけは、かっこ悪いです。既に当事者間で、問題は解決している(ように見える)からです。直接の利害もないくせに、そこへヒートアップしたトーンで乗り込んでくるのは、まるで便乗値上げのような下卑たふるまいです。むしろ問題を抱えているのは自分自身ではないかと、自らに問い直すことをおすすめします。

ひとつあえて悪者を挙げるとするならば、(有)カイカイキキ側の代理人でしょうか。はりきりすぎです。アメリカ人なのかな?

村上隆さんをちょっと調べてみた件

私の見たところ、ネット世論は村上隆さんを叩く側が優勢だったので、以下に補足しておきます。

村上隆さんって、どういう人なんだろうか? 名前程度しか知らなかったので、情報を探してみました。

権利の主張も当然のこと

2004年、「朝日求人」の連載企画「仕事力」のインタビューで、村上隆さんは次のように語っています。

ある意味我々日本人は、マンガ、アニメはもとより、生み出されたかわいいキャラクターたちの真価を世界一低く評価しているとも言えます。
ビジネスとして、お金を生み続ける資源として。そして独自で特異な芸術の極みとして。

日本人にはただ、のびのびと好きな作品を作っていられれば満足という面があり、権利をいちいち細かく考えたり主張したりすることを潔しとしていません。

世界最高峰のかわいいキャラクターたちの権利を守ってゆくことは、実は芸術大国日本を未来に向けて造ってゆくこととなるのです。

出典:価値を伝える技はあるか<村上 隆が語る仕事・4>|朝日求人ウェブ(2004年3月21日付)

なるほど。

上の話を含め、村上さんの語った内容をまとめた著書『芸術起業論』(2006)には、こんな記述も見られます。※下線は引用者 以下同じ

八〇年代にハリウッドの映画業界に弁護士が介入してから俳優のギャラがあがってきたように、ぼくは自分の立場を主張するエージェントが必要だと考えたのでした。(p.67)

そして神戸アニメストリートの目玉ロゴは、村上作品の「目」に似ています。

〔参考〕

実際「村上隆かな?」と思った人もいたようです。

以上をふまえると、村上さんの制作会社である(有)カイカイキキの代理人が、自作に似ているロゴに対してあれやこれやのアプローチを行うのは、その職責を全うする行為であり、ごく自然な帰結に思えます。

それでいいと思います。あとは程度の問題です。

言い換えれば「代理人はりきりすぎ」問題

村上隆さんの「エゴサーチ&リツイート」に関して重要な指摘がありました。

前掲ニュース記事から文脈をぶった切って、かいつまんで引用しますと、こういう経緯だそうです。

代理人弁護士によると、もとはツイッターで「目玉ロゴと村上作品が似ている」と話題になり、カイカイキキ側もこれで事態を察知したという。

出所:J-CASTニュース(2015/12/08付)

あいにく、私にはそうした事実が確認できませんでした。

さかのぼると、Twitter上で見られる最初の「目玉ロゴ」ツイートは、2015年1月30日付のこちらでした。

そこから折り返し追いかけてみましたが、カイカイキキ側から指摘があったとされる2015年7月以前はもちろんのこと、「ロゴの変更に係る合意締結のお知らせ」(12月4日)に至るまで、Twitter上で目玉ロゴと村上作品との類似性に言及していたツイートは見当たりませんでした。

もろもろの情報を総合すると、「似ている」と外に向かって言い出した張本人は、カイカイキキの代理人弁護士だと考えるのがいちばんつじつまが合います。

はりきりすぎです。

異論反論がありましたら歓迎します。特にカイカイキキ代理人からの反論をお待ちしております。具体的に誰なのかも知りたいです。

アメリカ人?

『芸術起業論』に、気になる記述がありました。

芸術の世界の権利などのやりとりはまさに闘争ですから、戦わなければやられるというのは目に見えているんです。
今、ぼくが雇っているハリウッドの三十歳ぐらいの弁護士は、ものすごく強いんです。
ばりばりに撃破していくという……(略)ぼくが合うのはロサンゼルスの弁護士の方です。(pp.171-172)

今回の代理人弁護士もこの人なのかな? それとも今は、あるいは国内向けには、別の代理人がいるのでしょうか? 具体的に誰なのか知りたかったのですが、残念ながら調べきれませんでした。

「勝てるまでのライン引き」
「勝てない時の防衛ライン」
それを考えた上でのかけひきで、
「そこを勝ちたいならここは押しこまれる」
「あれを譲るのならここまでしか勝てない」
査定して勝っていく弁護士的な勝負が、文化の面でも起こりうるのです。(p.172)

正当な権利行使の範疇でありましょうが、外野の私にはひとり相撲に見えました。

そんな感じです。

コメント

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