小説『ノルウェイの家具』(村上春樹風)

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こんにちは。

村上春樹風に語るスレジェネレーター
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の助けも得ながら書いてみました。

CADならぬCAW(Computer Aided Writing)の試みです。

20150619_HarukiMurakami

from commons.wikimedia.org

大ざっぱに出典・ネタ元も示しながら進めます。

CAW小説『ノルウェイの家具』

僕は三十七歳で、そのときノルウェイの家具に座っていた。


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六月にデートした女の子とはまるで話があわなかった。僕が南極について話している時、彼女はノルウェイ製の家具のことを考えていた。

「ノルウェイ製の家具?」と僕は聞いた。
「知らなかったの?」
「いや、知らなかった」
「馬鹿みたい。見ればわかるじゃない」とユキは言った。

「ずっと昔からノルウェイの家具はあったの?」
僕は肯いた。
「うん、昔からあった。子供の頃から。
僕はそのことをずっと感じつづけていたよ。そこには何かがあるんだって。
でもそれがノルウェイの家具というきちんとした形になったのは、それほど前のことじゃない。
ノルウェイの家具は少しずつ形を定めて、その住んでいる世界の形を定めてきたんだ。
僕が年をとるにつれてね。何故だろう? 僕にもわからない。
たぶんそうする必要があったからだろうね」

ノルウェイの家具の目的は自己表現にあるのではなく、自己変革にある。エゴの拡大にではなく、縮小にある。分析にではなく、包括にある。

完璧なノルウェイの家具などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。

「男の人ってノルウェイの家具のこと考えながらあれやるわけ?」
「まあそうだろうね」と僕は言った。「株式相場とか動詞の活用とかスエズ運河のことを考えながらマスターベーションする男はまあいないだろうね。まあだいたいはノルウェイ製の家具のことを考えながらやっているんじゃないかな」

僕が三番目に寝た女の子は、僕のペニスのことを「あなたのノルウェイの家具」と呼んだ。

「彼にその趣味があるかは知らないけど、あれはとにかくノルウェイの家具よ。完璧に。二〇〇パーセント」

「それで、ノルウェイの家具のことはなんとかなったんだね?」とカラスと呼ばれる少年は言う。

「それはそれ、これはこれ」である。冷たいようだけど、地震は地震、野球は野球、ノルウェイ製の家具はノルウェイ製の家具である。

「どうせノルウェイの家具の話だろう」とためしに僕は言ってみた。
言うべきではなかったのだ。受話器が氷河のように冷たくなった。
「なぜ知ってるんだ?」と相棒が言った。
とにかく、そのようにしてノルウェイの家具をめぐる冒険が始まった。

そして今日でもなお、日本人のノルウェイ製の家具に対する意識はおそろしく低い。
要するに、歴史的に見てノルウェイ製の家具が生活のレベルで日本人に関わったことは一度もなかったんだ。
ノルウェイ製の家具は国家レベルで米国から日本に輸入され、育成され、そして見捨てられた。それがノルウェイ製の家具だ。

「僕はね、ノ、ノ、ノルウェイの家具の勉強してるんだよ」と最初に会ったとき、彼は僕にそう言った。
「ノルウェイの家具が好きなの?」と僕は訊いてみた。
「うん、大学を出たら国土地理院に入ってさ、ノ、ノ、ノルウェイの家具を作るんだ」

僕はなんだか自分がノルウェイ製の家具にでもなってしまったような気がしたものだった。
誰も僕を責めるわけではないし、誰も僕を憎んでいるわけではない。
それでもみんなは僕を避け、どこかで偶然顔をあわせてももっともらしい理由を見つけてはすぐに姿を消すようになった。

ノルウェイの家具には優れた点が二つある。
まずセックス・シーンの無いこと、それから一人も人が死なないことだ。
放って置いても人は死ぬし、女と寝る。そういうものだ。

「ふうん」と緑は少し満足したように言った。

他人とうまくやっていくというのはむずかしい。
ノルウェイ製の家具か何かになって一生寝転んで暮らせたらどんなに素敵だろうと時々考える。

「それから君のフェラチオすごかったよ」
直子は少し赤くなって、にっこり微笑んだ。
「ノルウェイの家具もそう言ってたわ」
「僕とノルウェイの家具とは意見とか趣味とかがよくあうんだ」
と僕は言って、そして笑った。
彼女は少しずつノルウェイの家具の話ができるようになっていた。

ノルウェイの家具の話を妻に聞かせたことが正しい選択であったのかどうか、僕にはいまもって確信が持てない。

泣いたのは本当に久し振りだった。
でもね、いいかい、君に同情して泣いたわけじゃないんだ。
僕の言いたいのはこういうことなんだ。一度しか言わないからよく聞いておいてくれよ。

僕は・ノルウェイの家具が・好きだ。

あと10年も経って、この番組や僕のかけたレコードや、
そして僕のことを覚えていてくれたら、僕のいま言ったことも思い出してくれ。

(完)


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