引用の作法が中途半端な竹田恒泰さんをニヤニヤと見守る話

こんにちは。出典マニアがニヤニヤ見守ります。

「ニヤニヤ」についてはこちらをご覧ください。

「うかつ」で「いいかげん」な「ニヤニヤ人間観」宣言(2016/01/27)

この記事で言いたいこと

竹田恒泰さんが著書で「誰かの言葉を引用する場合は、正確に」と説いていました。

出典マニアに言わせれば、中途半端です。他人の言葉の引用は「正確に行う」だけでは不十分だからです。

    誰かの言葉を引用するときは:

  • 正確に行うのはもちろんのこと、
  • 出典(情報の取得元)を明記すること
  • さらには、一次資料、ないしは極力原典に近い資料にあたること

それが大事です。

それを怠ると、こんなことになります。

出典マニアがニヤニヤした件

ネット検索でとある調べごとをしていたら、竹田恒泰さんの著書『日本人が一生使える勉強法』(2014)のこんな記述に出くわしました。

引用します。書籍版で197-198ページにあたります。

言葉を引用するときは正確に覚えておこう

 印象的な言葉や、誰かの言葉を引用する場合は、正確に覚えておくと効果的です。

ふむ。

こんな趣旨と曖昧(あいまい)に言うのではなく、(略)正確に引用します。

引用は正確に。そのとおりです。全面的に同意します。何ら異論はありません。

ニヤニヤポイントは、上で省略した具体例の部分です。

マザー・テレサは「愛情の反対は、憎しみではなく無関心」という言葉を残していますとか、トインビーは「十二~十三歳までに神話を学ばなかった民族は、例外なく滅びている」と言いました、などと

ニヤニヤが止まりません。

ニヤニヤポイントを説明します。まずは後者から。

ダイジェスト検証:その引用は正確か?

「正確に」と説くわりに、竹田恒泰さんがトインビーの言葉として複数の著書で使っている「引用」、けっこうバラバラなんですよね。

それぞれのテキストを比較してみましょう。

◆『日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか』(2010)の場合:

十二、三歳までに自分たちの国の神話を教えなかった民族は、百年以内に必ず滅ぶ

巻末の北野武さんとの対談に出てきます。

◆『現代語古事記』(2011, 2016)の場合:

「十二、十三歳くらいまでに民族の神話を学ばなかった民族は、例外なく滅んでいる」

◆『日本人はなぜ日本のことを知らないのか』(2011)の場合:

「十二、三歳くらいまでに民族の神話を学ばなかった民族は、例外なく滅んでいる」(p.37)

◆『これならわかる!「古事記」』(2012)の場合:

「十二、十三歳くらいまでに民族の神話を学ばなかった民族は例外なく滅んでいる」
(p.17)

「特別インタビュー 監修:竹田恒泰」からです。

◆『日本人が一生使える勉強法』(2014)の場合(再掲):

「十二~十三歳までに神話を学ばなかった民族は、例外なく滅びている」
(p.197)

以上、「トインビー 竹田恒泰」の検索結果から見つかったものだけですが、こんな具合です。

ご覧のとおり、細部に異同があります。「正確に」は、「これまでできていなかった反省をふまえての自戒も込みで」と、受け取っておきます。

こちらはまあ、どちらかと言えば些末な話。

「なりすまし」を拡散する竹田恒泰さん

出典マニアのニヤニヤが止まらないのは、竹田さんの取り上げている2つの具体例がアレすぎるためです。

端的に述べると、2つともフェイク、ガセネタです。

マザー・テレサは「愛情の反対は、憎しみではなく無関心」という言葉を残していますとか

残してません。残したのは別人です。前に検証しました。

検証:なぜ「愛の反対は無関心」がマザー・テレサの言葉になってしまったのか?(2015/04/08)

トインビーは「十二~十三歳までに神話を学ばなかった民族は、例外なく滅びている」と言いました、などと

恐らく言ってません。

レファレンス協同データベースの事例:

竹田恒泰著『現代語古事記』の「序にかえて」のなかに、20世紀を代表する歴史学者アーノルド・J・トインビー(1889-1975)の遺した言葉として、
「12、13歳くらいまでに民族の神話を学ばなかった民族は、例外なく滅んでいる」という一文があった。この言葉の出典が知りたい。
(登録日:2013/07/18)

を見ると、どうも戸松慶議(1913-2007)が「原作」みたいです。

追って調査しています。解明がすんだら別途記事にまとめる予定です。
【2/27追記】まとめました。追跡:「古事記ビジネス」に騙り継がれるトインビー「民族の神話」の系譜(2017/02/24)
(追記ここまで)

というわけで、2つとも「なりすまし」の「ガセネタ」でした。

竹田さんは「なりすまし」に引っかかっています。もしくは、「なりすましのニセモノ」を承知ででたらめを広めています。

余録:これもニヤニヤ

先ほど引用した『日本人が―』の続くくだりで竹田さんはこうも述べているのですが、

イメージで語ってしまうとメッセージとしての印象が弱まります。(p.198)

とは限りません。

「偽物トインビー語録」を、あたかも本人が言ったかのように多用する竹田さんが、何よりの反例です。自説の印象を強めたいがために、イメージで語っているように見えますから。

むすび

竹田恒泰さんのように、出どころの怪しい他人の言葉を紹介していると、出典マニアにニヤニヤされます。気をつけましょう。

今後も竹田恒泰さんの言動をにやにやと半笑いで見守ることにします。

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