「丼」でいいのに「丼ぶり」と書く「どんぶりぶり問題」(1)

こんにちは。

ちょいと気になる今どきの日本語を取りあげます。

この記事で言いたいこと

「丼ぶり」という書き方が気になります。

世の学力の低い人々は、「どんぶり」を「丼」1字で表せることを知らないのでしょうか?

解説

「どんぶり」を漢字で書き表したいなら、

と一文字書いておけば十分です。

「丼ぶり」みたいに、送り仮名は必要ありません。「ぶり」はムダです。

ムダは豊かさの表れでもあります。しかし、そうと知らずにムダなことをしているのは不幸です。

どんぶりぶり問題

問題の定義

近ごろちょいと気になっているのは、「丼」一字で済むところを「丼ぶり」と書く書き方です。

たとえばこんな具合です。

IMG_20140831_195230

◆「丼ぶり」各種 1パック 本体価格 298円 ※2014年8月 東京都内にて撮影

これで「どんぶり」のつもりなんでしょう。「どんぶりぶり」と読ませたいわけではありますまい。

この「丼ぶり」表記に関するあれやこれやを総じて、「どんぶりぶり問題」と呼ぶことにします。

丼あるある:「丼」でいいのに「丼ぶり」と書きがち

検索してみると、こんなツイートもありました。

レイザーラモンRGさんのラジオ番組の告知からです。

「丼」でいいのに「丼ぶり」と書きがち

まさに「丼あるある」、そして「どんぶりぶりあるある」です。

問題点は「アホっぽい」

「丼」を「丼ぶり」と書く「どんぶりぶり問題」の何が問題かというと、アホっぽいことです。ムダがあるからです。

ただし私自身は、ムダを一律に排除すべきだという見解は持っておりません。ムダは豊かさの表れでもあり、愛すべき対象にもなりうるものです。

しかし「丼ぶり」と書いてあるほとんどすべてのケースで、あえてムダを取り入れた書き方をしているとは思えず、いたたまれなくなります。

アホっぽいです。

「丼」に送り仮名はいらない

確認しておきましょう。「どんぶり」を漢字で書き表す際に「丼ぶり」とかなを送る必要はありません。

文化庁が示す常用漢字表では、丼には「どんぶり」「どん」の2つの訓があります。

2014-09-14_0258

常用漢字表の音訓索引(bunka.go.jp)より

したがって、「丼ぶり」の「ぶり」はムダです。アホっぽいです。

商業的には、ほぼ現れない

「丼」一字で「どんぶり」と読めるのですから、日本語コーパス「少納言」で探してみても、書籍・新聞・雑誌といった各種刊行物において「丼ぶり」の用例は出てきません。検索結果はゼロ件でした。

こうした媒体では、たとえ原稿に「丼ぶり」と書かれていても、校閲の段階で修正されるものと思われます。

「丼ぶり」は、ある程度のクオリティが期待される商業出版物では出てこない表記だと言えます。アホっぽいです。

発生原因は「長いから」?仮説→棄却される

「どんぶりぶり問題」が生じるのは、「丼の読みが「どんぶり」と長いから」だろうか?

つまり、「漢字一字をかな4文字で読める」という事態がスペシャルすぎるので、低学力層がついていけてないのではないか。

そんな仮説を立てて検証してみました。

どうも、その説は成り立たない様子です。

意外に多かった「読みがな4文字」の漢字

常用漢字表を見ると、「丼(どんぶり)」のように4文字の訓読みがある漢字は、丼を含め21字ありました。

案外多いです。思っていた倍以上ありました。

起こり得るのに起こっていない、類似問題

丼がアホっぽく「丼ぶり」と書かれるなら、他の「読みが長い」漢字についても、同じような問題が生じてもいいはずです。

たとえば、

  • 「にわとり」を「にわ鶏」と書く「にわにわとり問題」
  • 「かんむり」を「冠むり」と書く「かんむりむり問題」

といった具合です。

しかしネットで探してみても、飲食店の名前などで若干の用例は見られましたが、「丼ぶり」ほど多くありません。「にわにわとり問題」「かんむりむり問題」は、実質的に生じていないと言えます。

ほぼ「丼」固有の現象であるという意味でも、「どんぶりぶり問題」です。

一覧はこちら

ちなみに、「訓読みすると4文字」に該当する常用漢字はこちらでリストにしていますので、興味がありましたらご覧ください。

次回予告:犯人はこいつか?

「どんぶりぶり問題」は、ほぼ「丼」固有の問題です。他の字では実質的に発生していません。

「丼」だけがなぜ、こんなことになっているのでしょうか?

「犯人捜し」に走ります。

つづく

コメント

  1. 名無しさん より:

    これって「丼」だと「どん」と読む人もいるわけで、だから必ず「どんぶり」と読んでもらうために「丼ぶり」って書いてあるんじゃないんですか?
    「どんぶり」だと丼っぽいニュアンスが出ない、でも「丼」だと「どん」と読む人もいる。だから折衷案としての「丼ぶり」になるわけです。
    読み仮名がつかないからこそ生まれた実用的な表記だと思いますよ。全部ひらがなだと読み辛い、でも全部漢字だと違う読み方をする人がいる、だから半分ひらがなを残して漢字部分の読み方を誘導しているんです。