続・「ぐーぐる」と訛っているのが気持ち悪い

こんにちは。

以前に書いた記事:「ぐーぐる」と訛っているのが気持ち悪い(2013/12/23)の、2年越しの続編です。

この記事で言いたいこと

民間放送のアナウンサーは、「みんながどう言っているか」を基準に「グーグル」の言い方を決めているようです。人を重視する「ひと系」のやり方です。

周囲の動向を基準とするやり方には危険が伴います。なぜならば「空気による支配」の根源ともなるからです。

放送局の人に任せておくのは、いろいろな面で危険だと言えそうです。

前回のあらすじ

日本語の「グーグル」のアクセントが訛っている人ばかりなので、聞いていて気持ちが悪いという話でした。

訛っている「グーグル」とは

どこにもアクセントを置かず、平板に発音する言い方です。

「ぐーぐる」の表記について

「グーグル」が平板に訛ったアクセントを、前回記事に引き続き「ぐーぐる」と表記します。

続・「ぐーぐる」

その後判明した、平らに言う「ぐーぐる」関連の情報です。

既出だった

あるとき、こちらの記事を見つけました。

新・ことば事情
4240「グーグルのアクセント2」
|道浦俊彦TIME(公開日:2010/12/19)

日付からすると前回記事の公開時点で既に存在していたことになります。不案内で気づきませんでした。

人間「日本語センサー」道浦俊彦さん

道浦俊彦さんは読売テレビのアナウンサーです。

個人的な経験を述べると、当記事の「ぐーぐる」のみならず、何か気になる日本語表現を検索すると、道浦さんがたいてい先に取り上げています。

なかなかの日本語センサー人間ぶりです。

民放アナは「みんな」が基準

道浦俊彦さんの記述によると、民放のアナウンサーは、「グーグル」の言い方を「みんながどう言っているか」を基準に決めているようです。

各局アナウンサーがどう言っているかの「事例収集調査」結果や、読売テレビの同僚を対象とする「聞き取り調査」の結果などが記されていました。

集約すると、民放アナが「ぐーぐる」と発音する理由とは

  • (自分ではそうは言わないが)みんながそう言っているから

でした。

人が基準になっています。「ひと系」の発想です。

例:日本テレビ・豊田順子さんの場合

代表として日本テレビ・豊田順子アナのケースから引用します。強調は原文のものです。

日本テレビの豊田順子アナウンサー「平板」の、

「グ/ーグル」

を、お昼の「ニュースダッシュ」でよく使っています。

「平板アクセント」を使っている日テレ・豊田アナウンサーに、その辺の事情に付いて聞いてみたところ、

「外来語・横文字・カタカナの言葉のアクセントは本当に迷うが、『グーグル』(特にインターネット関連の用語)に関しては、私もかつては頭高(英語発音を基本)で発音していましたが、認知度や、利用している人の広まり具合を意識して、その都度考えております。『グ\ーグル』と発音することでその言葉がひっかかり、ニュースの本当の意味での大切な内容が聞き流されてしまってはマイナスとの考え『も』あるからです。こういう言葉は、少しフレキシブルに考えて使っています。」

という内容の大変丁寧なメールを頂きました。ありがとうございます!

なるほどそういう事情があるわけですね。有用な情報でした。

私の意見

フレキシブルに考えて使う。

確かにそれもひとつの見地であります。ですが同時に、どこか釈然としない感もまた漂います。

というのも、世間を支配する「空気」の正体がかいま見えた気がするためです。イヤな感じ。

私からすれば、「グーグル」と頭にアクセントを置いて発音し、「ぐーぐる」勢に対して引っかかりを作ってほしいところです。

ちょうど、B’zの公式サイドが、決して一般人のように「びーず」と平らには言わず、必ず「ビーズ」とアクセントを付けて言っているようにです。

たとえばこちらのCM動画で確認できます。

B’z / 「C’mon」TVCM C’mon篇(15sec)(2011/07/08付)

豊田順子さんのいうところの「ニュースの本当の意味での大切な内容」に話を進めるのは、それからでいいです。

もうひとつの「エンブレム」問題

ほとんど誰も言っていませんが、もうひとつの「五輪エンブレム」問題もそこにあります。

リエージュ劇場ロゴ盗用の疑惑が持ち上がったことで開かれた8月5日の会見で、佐野研二郎さんと槙英俊さんがしばしば、エンブレムを平らに「えんぶれむ」と言っていました。

東京の駅名で言うと、「泉岳寺(せんがくじ)」ではなく「錦糸町(きんしちょう)」のアクセントです。

「錦糸町」と同じアクセントの「えんぶれむ」を聞いて、私が

なにそれ。気持ち悪い。

と思ったのは否定しようのない事実です。

この件、実証データも加えて別途詳しく述べたいです。

「アンテナ」しかない道浦俊彦さんの残念さ

非常に高感度の「日本語センサー」を持つ道浦さんですが、残念なのは、センサーしか持っていないことです。

まるでセンサ/安全機器のキーエンスのような人です。

道浦さんの記事をいくつか読むと、取り上げたどの言葉に関しても、考察は「周りの人に聞く」「辞書を引く」といった「ひと系」の方法にとどまっており、それ以上思考が深まっていきません。

アンテナだけでは、テレビジョン放送は見られません。

比喩を秒速で撤回

念のためキーエンスのWebサイトを確認しておきました。

2015-10-10_1736

当社では、何が当たり前のことなのかを検討・判断する際には、「原理原則で考える」ということを常に心掛けております。
原理原則で考えることで、完璧ではないが少なくとも成功確率を上げることはできると考えております。

社長メッセージ|株式会社キーエンス より ※下線は引用者

周りの状況を感知するための機器を作る会社が常に心がけていることは、「原理原則で考える」でした。

不適切な比喩でしたので、お詫びして「キーエンスのような人」呼ばわりは撤回いたします。

おわり

コメント

  1. より:

    そのうち、固有名詞まで「そうる」「にゅーよーく」と平板アクセントで呼ぶ人が現れるかも知れませんね。

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