まさかの坂はそこにある
《まさかの坂道》(詞:小笠原和美, 2013)
こんにちは。用件はタイトルのとおりです。
まさか!(1)自衛隊、ゴルゴ13に依頼していた
まさかのコラボを知りました。
2013年で45周年を迎える
劇画界の生ける神話、さいとう・たかを原作の
「ゴルゴ13」が、自衛隊岩手地方協力本部と
まさかのコラボレーション!!!
出所:ゴルゴ13×岩手地本 自衛官募集ポスター|自衛隊岩手地方協力本部
まさかにもほどがあります。
驚きの情報
自衛隊とゴルゴでツイート検索してみると、こんな情報が。
ゴルゴ13とのコラボで作品募集しているサイトがあって、リンクに飛んでみたら自衛隊だった。ああ……確か貴方の組織、叛乱分子をこっそり粛正して貰いましたもんね……(SPコミックス115巻「沖縄シンドローム」より)。 http://t.co/NsEgzuZJXd
— 東出祐一郎 (@Higashide_Yu) 2013, 12月 31
えっ、「コラボ」は初めてじゃないってこと?!
本当でしょうか?
「沖縄シンドローム」を読んだ
さっそく、Kindle 版をダウンロードして確かめてみました。
出典を示してくれていたのが出典マニアにはありがたいです。そうでないと。
概要
大ざっぱにまとめて言えば、軍事クーデターによる沖縄独立を企て決行した琉球王朝の血を引く自衛官と、米軍の協力を得てその完遂を阻止するゴルゴとの攻防、といった筋立てです。
描かれていた沖縄独立シナリオは、僕レベルでは十分ありそうなリアリティを持っていました。
「1996年1月作品」です。
さらにとんでもない事実が
エピソードの事実関係としては、おおむね引用したツイートのとおりでした。ただ、さらにとんでもない事実が判明しました。
まさか!(2)断られていた
実は当時の日本政府、「叛乱分子」の首謀者の始末をゴルゴ13に依頼したのですが、断られていたのです。
真相はかうだ
事実関係を整理しておきます。
対応を協議するため防衛庁に集まった首相ほか政府首脳は、首謀者である航空自衛官「伊波天臣」を抹殺するしか…という結論に達します。ただ名目上は「私の独断で、」「行った……という事で……」(p.79)依頼の手筈を整えます。
「私の独断で、」の発言者は、絵柄から判断すれば、当時の村山富市内閣の官房長官だった野坂浩賢(1924-2004)です。
しかしゴルゴは、この依頼を断っています。
コンタクトはとれたのですが、先約の仕事がある、と内容も聞かずに断ったそうです!(p.89)
依頼人は
「先約」とその依頼人に関しては、ストーリーの最後に明かされていました。
ゴルゴ総合研究所『俺の背後に立つな!』では、「琉球王朝の子孫」という書き方でした。
- ゴルゴ13第115巻-1沖縄シンドローム(2008/03/29付)
ターゲット情報
「沖縄シンドローム」でゴルゴ13の狙撃対象となったターゲットは2人です。
まず、クーデター首謀者の自衛官・伊波天臣です。「ゴルゴ 13 ウィキ」の登場人物一覧ではこう述べられていました。
航空自衛隊北部方面隊所属で階級は一等空尉。自衛隊創設以来の天才と称されるカリスマパイロット。沖縄では代々王朝を補佐し続けてきた名家の出身。
そして、経済面で後ろ盾となっている菱井グループのトップ「松方」です。「閉塞しきった官僚国家」(p.77)に見切りをつけ、生産拠点を続々と沖縄に移していたのでした。独立後の沖縄経済の前途に不安はありません。
まさか!(3)その背景は?
「ゴルゴ13×岩手地本」に戻ります。
このコラボ、ゴルゴ13の人となりを多少なりとも知っていれば、「殺し以外の依頼を受けないはずのゴルゴが?!」という「まさか」でも読めそうです。
ここまで述べたとおり、1995~6年以来、ゴルゴには「借り」のある自衛隊です。今回「まさかのコラボ」実現にあたり、岩手の地本(地方協力本部)はゴルゴ13サイドにどうアプローチをかけて、どんな依頼を出したのでしょう?
岩手地方協力本部の業務内容はこうなっていました。
- 自衛隊の広報活動
- 自衛官等の募集・採用
- 自衛官等の再就職援護
- 予備自衛官及び即応予備自衛官業務
- その他(部外工事の受託等)
- 国民保護・災害対策関連の業務
表面的に見る限り殺しの依頼でもなさそうなのに、あのゴルゴが受けるとは。岩手の地本が展開したオペレーションが気になります。
まとめ
「沖縄シンドローム」から18年、閉塞しきった官僚国家に変わるところはありません。
もしかして、沖縄の次は、東北… となると表向きは自衛官募集に見えて…そのターゲットは……
すべての黒幕はひょっとして、ゴルゴと関わり深い副総理のあの男……
そんな想像がふくらみます。
ふくらんだ想像に、「沖縄シンドローム」からも見逃せない事実が迫ってきます。
エピソードでの狂言回しとして、沖縄独立を画策する「オペレーション・トロイ」の全貌を追いかける記者の名前が「麻生」なのです。意味深長です。
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戦闘だけが、軍事行動ではありません。僕の場合、嫁との結婚生活でそれを叩き込まれました。
こちらからは以上です。
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