「どんぶり勘定」と聞いて食器的な何かイメージしてるヤツちょっと来い

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こんにちは。

他にも既に多くの方が述べられていますが、世間の一部にある「どんぶり勘定」の勘違いイメージを正します。

昨日覚えたばかりのことを、さも前から知っていたかのように語る試みです。

要約

「どんぶり勘定」の「どんぶり」とは

(not)×間違い

丼鉢・丼飯

ではなく

(but)○正確

前掛けのポケット

のことです。

※元画像は、pixabay.comkaneiwa.netより

序・どんぶり勘定

「丼(どんぶり)勘定」という言葉があります。

「広辞苑」には

予算を立てたり決算をしたりせず、手もとにある金にまかせて支払いをすること。また、それに似た大まかな会計。

とあります。

「どんぶり勘定」に食器をイメージしていそうな例

一部に、「どんぶり勘定」の「どんぶり」を食器的な何かにイメージしている向きが見られます。

例えばこんな感じです。

こんなアプリも。

2014-03-21_unnamed
わりかんどんぶり勘定(play.google.com)

2014-03-21_screen480x480
どんぶり勘定 – PekoPokoApps(itunes.apple.com)

シャレのつもりでないのなら、みな間違いです。

正確な「どんぶり勘定」イメージ

より正確な「どんぶり勘定」のイメージ図はこちらです。

2014-03-21_4f517a16-s

※画像は、どんぶり勘定に学ぶ江戸商人|一級建築士 塩谷敏雄ブログ(2006/02/18付)より

「どんぶり」を辞書で引いてみると

1)広辞苑

広辞苑には、こうあります。 ※原文○囲み数字の表記を変えています

どんぶりかんじょう【丼勘定】

(「どんぶり」(3)から。一説に(2)からという)

どんぶり【丼】

(2)更紗(さらさ)・緞子(どんす)などで作った、金などを入れる大きな袋。若い遊び人などが好んで用いた。

(3)職人などの着ける腹がけの前かくし。金などを入れた。

2)俚言集覧

江戸期に編まれた『俚言集覧』の「とんふり」にはこうありました。明治32年の刊行版から引用します。

水に物の落る聲(略)又甌[ほとぎ]の深きものを丼と云

鼻紙入に丼あり

なお「甌」は現代では「缶」の字に相当するようです。

「大きな袋」の意味を説明する側には

(だん袋の換言なるべし)

との文言も見えます。

2014-03-21_1419

出典:近代デジタルライブラリー『俚言集覧. 中巻』(19C初頭, 1899) 七百七十八頁

「器」と、あと広辞苑の(2)の意味はありますが、(3)の意味は載っていません。(2)の「大きな袋」から派生してできた意味なのでしょうね。

再説:ここが「どんぶり勘定」の「丼」

もう1回くり返し述べますと、「どんぶり勘定」というときの「丼」とは、この部分のことです。

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※画像は、前掛けと腹掛けと丼勘定|染織こだまS より

食器的な何かは関係ありません。

前かくしの「丼」の用例―青空文庫より

この意味で使われている「丼」の用例を、青空文庫から2つ引用します。

葉山嘉樹『セメント樽の中の手紙』(1926)

「だが待てよ。セメント樽から箱が出るって法はねえぞ」
 彼は小箱を拾って、腹かけの丼(どんぶり)の中へ投(ほう)り込んだ。箱は軽かった。

佐々木俊郎『蜜柑』(1927)

弥平爺は、しばらくの沈黙の後、腹掛けの丼(どんぶり)を探りながら言った。そして、鞣革(なめしがわ)の大きな財布を取り出した。

大正末~昭和のはじめ頃は、さほど珍しい用法でもなさそうです。

まとめ・考察

「丼」とは「深い」

『俚言集覧』での説明から還元すれば、「どんぶり」の原義とは「深い」です。

その「深い」が具体的に意味するものが、あるときは袋だったり、また前掛けのポケットだったり、器だったり、さらに派生して、深い器に盛った食事だったりするわけです。

ですから、器なら「丼鉢」、そこへ盛った食事なら「丼物」「丼飯」などと言うのが、より原初的な、道理に沿ったもののいい方だと言えましょう。

「携帯」に似ている

言葉としての「丼」の使われ方の推移は、当世の「携帯」に似ています。

昨今では「携帯の番号」などと普通に使い、それで意思疎通もできています。しかし本来「携帯」とは「身につけて持つ」という意味です。そこに「電話」や「端末」など何か具体的な物体を表す意味はありません。

さらに厳密に言うならば、「電話」も電話機を意味しません。「電話」とは、通信機器とネットワークを通じて非対面で会話ができるシステムの総称です。

略された先に意味が引き継がれるメカニズム

「丼鉢」も「携帯用電話機」も、多用されるにしたがって表現の圧縮圧が作用し、やがては省略されて「丼」「携帯」となっています。

省略後に残った部分が、そこ本来の意味にはない部分も含め、元の表現の意味全体を引き継いで使われています。どうも言葉とはそういう運命にあるようです。

「携帯」ならば、まだ当世のわれわれには何が略されているかわかりますので省略しない表現に復元できます。しかし「丼」となると、もはや元来何であったかがわからなくなりつつあります。

それが、先ほど見た「どんぶり勘定」の珍解釈につながっているようです。

現場からは以上です。

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コメント

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