「徹子の部屋」が教育/教養番組って知ってた?―テレビ各局が公表している番組種別が、一部かなりの「なんじゃそりゃ」な件

こんにちは。

要するにこういう話です。

答えは無いの?
誰かの所為にしたい
ちゃんと教育して叱ってくれ

《群青日和》(東京事変, 2004)―「教育」収録

東京事変 – 群青日和|YouTube(2013/05/26付)

一種のツッコミノック企画です。

はじめに

とあるきっかけで、各テレビ局が、自局で放送している番組の種別分類を公表していることを知りました。

番組の種別は次の6つに分類されます。

  • 報道
  • 教養
  • 教育
  • 娯楽
  • その他(通信販売)
  • その他

区分のパターンは、「これは報道」「これは娯楽」のような、1つの番組で1対1対応するものだけではなく、1つの番組が複数の区分にカテゴライズされるパターンもあります。放送局側で個々に判断しているようです。

「なんじゃそりゃ」の発見

公表されている文書をひととおり見ていって、発見しました。

この番組分類、大体は

  • 「ふむふむ」と異存なく同意できるもの
  • (承伏しがたいながらも)「まあ、そうとも言えるかな」と認められるもの

なのですが、一部がかなりの

  • 「なんじゃそりゃ!」なのです。

「分類ボケ」という予想外の鉱脈が眠っていました。

以下、在京のテレビ局がWebサイトに掲載している地上波編成表のドキュメントから、具体的に紹介していきます。

田舎者なのに、発信は東京基準です。

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私選・在京テレビ局の「なんじゃそりゃ」な区分の番組たち(2013年版)

記事執筆時点(2014/03/29現在)では、どの局も平成25年度上期、すなわち2013年4~9月の実績が公開されています。一部の局には、同じ様式での10月度分の基本編成表もありました。

ということで、各局の「なんじゃそりゃ」の代表を、チャンネル番号順に紹介していきます。

おことわり

世の中の大半を占める低俗な人のために、個々の事案に深入りはせず、調査の結果判明した低俗な部分だけをすくい取って書くことにします。

NHK総合(011)

データ出所:個々の放送番組の種別と放送実績(平成25年4月~9月)(PDF)(2013/11/18付)

民放と比べると「番組数が圧倒的に多い」≒「放送時間の短い番組が多い」のが大きな特徴です。放送時間10分未満のひと桁分数の番組がたくさんあります。CMがない公共放送なので、それらがCM代わりの役目を果たしているとも言えそうです。

なんじゃそりゃ第2位

  • 5分で「あまちゃん」(04/21(日)05:45 ほか、5分) 報道番組
  • 大河ドラマ八重の桜ダイジェスト(05/26(日)04:15 ほか、5分) 報道番組

NHKにとってドラマのダイジェストとは、報道番組らしいのです。

なんじゃそりゃ!

かと思えば、

  • 5分で“第二楽章”(05/25(土)01:10 ほか、5分) 娯楽番組
  • 大河ドラマ「八重の桜」戦いは頂点へ(05/25(土)03:46 ほか、5分) 娯楽番組

と、ごく穏当に思える分類もしています。

どないやねん

なんじゃそりゃ第1位

  • 麻里子さまのおりこうさま!(4/21(日)01:20 ほか、5分) 報道番組

なんじゃそりゃ!!

あれって、時事キーワードを150字以内にまとめるという変形大喜利じゃないの?

日本テレビ(041)

データ出所:2013年9月第3週(PDF)(2013/10/01付)

見た範囲では、比較的「まとも」な部類に入ります。

「キユーピー3分クッキング」が「教養番組」というのも、「それいけ!アンパンマン」が「娯楽/教育番組」というのも、まあまあ、わからないでもないです。

なんじゃそりゃ第1位

そんななか、唯一、突出して孤高の「なんじゃそりゃ」ぶりを発揮していた番組がこちらです。

  • プロ野球 Dramatic Game 1844「読売ジャイアンツ × 広島東洋カープ」(09/21(土)19:00、114分) 娯楽/教養/教育番組

なんじゃそりゃ!!

どこに教養/教育の要素があるのかと

テレビ朝日(051)

データ出所:
2013年10月基本編成表(PDF)(2013/10/11付)
2013年4月第3週(PDF)(2013/10/11付)

なかなかに謎の多い分類が目立っています。ランキングも3位からのカウントダウンです。

なんじゃそりゃ第3位

  • ドラえもん(金 19:00、30分) 教育/娯楽番組
  • クレヨンしんちゃん(金 19:30、24分) 娯楽番組

解せないのは両者の扱いの違いです。この差はどこに由来するのでしょう。

なんじゃそりゃ第2位

  • 渡辺篤史の建もの探訪(金 04:30、25分) 教養番組
  • 徹子の部屋(月-金 13:20、35分) 教育/教養番組

どちらもおなじみだけに、どう受け取っていいか戸惑います。

なんじゃそりゃ第1位

  • 上沼恵美子のおしゃべりクッキング(月-金 13:00、20分) 教育番組
  • 痛快!ビッグダディ 特別編(4/20(土)13:59、121分) 教育/教養/娯楽/その他(その他)番組
  • 痛快!ビッグダディ19(4/21(日)18:56、254分) 教育/教養/娯楽番組

当記事の中で最も強く、異議を申し立てます。

違う! ダメ、ゼッタイ!!

TBS(061)

データ出所:
2013年9月第3週実績(PDF)
2013年10月期 基本番組表(PDF)

特定分野の番組に、他局にない顕著な特徴があります。詳しくは後述します。

元の資料には放送開始時刻および放送時間は書いてありませんでしたので、別途番組表等から補いました。

なんじゃそりゃ第3位

  • 宇宙戦艦ヤマト2199(09/22(日)17:00、30分) 教養/娯楽番組

ここにも「アニメ分類問題」があります。どうやら局を横断する普遍性がありそうです。

なんじゃそりゃ第2位

  • アッコにおまかせ!(日 11:45、69分) 報道/教養/娯楽番組
  • 噂の!東京マガジン(日 13:00、54分) 教育/教養/娯楽番組

なんじゃそりゃ第1位

  • 半沢直樹 #10 (25分拡大)(09/22(日)21:00、79分) 教育/教養/娯楽番組

なんじゃそりゃ!!

いや、いいドラマでしたよ。「やれーー大和田ーー」の土下座要求の段は、様式美すら感じる名シーンだったのも認めます。しかし。しかしです。どこに教養/教育の要素があったのかと。

思い返してみても、取締役会の前夜、大和田常務(香川照之)が小津安二郎の「東京物語」(1953)を見ていたシーンぐらいしか、かすりそうな要素が出てきません。しかもドラマの進行と直接は何の関係もありませんし。

TBS独自の謎分類

見る限りTBSのドラマは全部同じです。たとえば10月期の「クロコーチ」も同じく「教育/教養/娯楽」という分類でした。他方、確認した限りにおいてTBSを除く他局ではみなドラマは100%「娯楽番組」でした。娯楽以外の区分を付けていた局はなかったです。

どうやらTBSは、自局のドラマを、単なる娯楽番組にしたくないようです。

「水戸黄門」も「渡る世間は鬼ばかり」も(ともに2011年終了のため)書面上では未確認ですが、きっと「教育/教養/娯楽」だったに違いありません。

テレビ東京(071)

データ出所:2013年10月クール ジャンル表(PDF)

アニメ分類問題

「アニメのテレ東」と呼ばれるほどに、編成にアニメ番組が目立ちます。ほとんどが「教育/娯楽番組」です。

上の表を見ると、区分が「娯楽」だけだったアニメは「義風堂々!兼続と慶次」「機動戦士ガンダム 第07板倉小隊」の2つです。

この基準が気になります。

なんじゃそりゃ第1位

  • ウイニング競馬(土 15:00、60分) 教養/娯楽番組

どこがや

フジテレビ(081)

データ出所:2013年10月期 基本番組表(PDF)(2013/10/07付)

なんじゃそりゃ第2位

  • 笑っていいとも!(月-金 12:00、60分) 教養/娯楽番組
  • ライオンのごきげんよう(月-金 13:00、30分) 教養/娯楽番組

そう思ったことはないです。

なんじゃそりゃ第1位

  • ちびまる子ちゃん(日 18:00、30分) 娯楽番組
  • サザエさん(日 18:30、30分) 教育/教養/娯楽番組

これも「アニメ分類問題」です。この差はいったい何に由来するのでしょうか。

TOKYO MX(091・092)

データ出所:平成25年(2013年)下期の基本番組表(PDF)

全般に、区分としては最も素直に思えます。

なんじゃそりゃ第2位

なので、「なんじゃそりゃ」度もそれほど強くはありません。

  • とちぎ発!旅好き(土 09:00、30分) 教育/教養番組
  • TokYo, Boy(日 21:00、30分) 教育番組

第1位は該当なしとしておきます。

考察は別途

「なんでこんなことになっているのか」とか「だったらどうすればいいか」とかは、ここでは論じません。いつか別の記事にするつもりです。ただし記事化は保証しません。

まとめ

  • テレビ局の番組種別のなかには、分類がへんてこなものがありました。
  • へんてこ具合にも、局の特徴がありました。
  • アニメの分類は各局とも悩みの種のようです。

関連リンク集

低俗な皆さまには不要な情報ですが、僕は出典マニアなのでこれだけは付記しておきます。

使用した各局のPDF文書は、こちらから入手できます。なお随時、文書は最新版に入れ替わるものと思われます。

脱・低俗志向の方へは

すべての発端は、こちらの論文の発見でした。大変よくまとまっている論考でした。

筆者名は「メディア研究(メディア動向)村上聖一」となっていました。

「番組調和原則」の問題を考えていくにあたっては、必読文献ではないでしょうか。最低限ここで述べられているような経緯や論点を押さえておくことが、必須の条件ではないかと感じられます。

これをふまえた上で考察を進めていけば、低俗でない論議ができそうに思います。

こちらからは以上です。

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