こんにちは。新加勢大周です(ウソ)。
新国立競技場の事案が派手にやらかしているのが明るみに出たことで、近ごろ盛り上がってまいりました。
新国立競技場|日本スポーツ振興センター より
そんななか、出色の分析を読みましたので紹介します。
新国立競技場・失敗のアナリシス(抜粋)
ポイントを抜粋してお送りします。
<ここから>
要するに、新国立競技場の作戦計画は杜撰であった。
その計画は、堅実性と柔軟性を欠いた。
その杜撰さを生んだ主な要因には、情報の貧困、敵戦力の過小評価などがあげられよう。
ことに後者は、プロジェクト開始前に何度か修正されてしかるべき体験を味わわされたにもかかわらず少しも改められず、先入観の根強さを示すとともに、組織による学習の貧困ないし欠如をも物語った。
また、「スポーツには世界と未来を変える力がある。(Tokyo 2020 大会ビジョン)」という非合理的心情も、積極性と無謀を同一視しこれを過度に強調することによって、杜撰な計画に対する疑念を抑圧した。
これは、JSC(日本スポーツ振興センター)ならびに有識者会議、ひいては文部科学省という組織に浸透したカルチュア(組織の文化)の一部でもあった。
<ここまで>
秀逸すぎる分析です。
元ネタはこちら
種明かしをすると、上の記述は『失敗の本質』(1984, 1991)が元ネタです。
最近ではKindleの電子書籍でも入手できるようになっていました。
で、同書の事例研究の章に収められたインパール作戦の「アナリシス」のくだりから、登場の組織名など(太字部分)を入れ替えただけです。
復元しておきます
以下、それぞれ「元ネタ」に復元しておきます。
原文ではこうでした。
- 新国立競技場 → 第一五軍
- プロジェクト → インパール作戦
- スポーツには世界と未来を変える力がある。(Tokyo 2020 大会ビジョン) → 必勝の信念
- 無謀 → 攻撃
- JSC(日本スポーツ振興センター)ならびに有識者会議、ひいては文部科学省 → 陸軍
関連語句を入れ替えただけで、見事なまでに失敗が再現されています。これはつまり、失敗の構造が不変であるということです。
メシウマ(=飯が美味い)です。
しびれる前口上
インパール作戦の事例研究を読み直してみました。導入部の「口上」がふるっていてしびれました。
このような作戦の失敗と犠牲の大きさ、異常さを生み出した原因の大半は、つまるところ、作戦構想自体の杜撰さにあったといわれる。
したがってここでは、主に作戦の決定過程に分析の焦点を絞り、杜撰な計画がなぜ、どのようにして決定されたかを解明することによって、作戦失敗の原因を探求してみよう。
まるで1980年代から今日の新国立競技場の失敗を見通していたかのようです。
一致しすぎていて、重ね重ねメシウマです。
おまけ:練習問題
ここでひとつのお遊びとして、練習問題を出しておきます。 ※下線は引用者
問題
新国立競技場の話になるように、下線部ほかを適切な語句に入れ替えて、文章を完成させましょう。
では、なぜこのような杜撰な作戦計画がそのまま上級司令部の承認を得、実施に移されたのか。これには、特異な使命感に燃え、部下の異論を抑えつけ、上級司令部の幕僚の意見には従わないとする牟田口[廉也・中将]の個人的性格、またそのような彼の行動を許容した河辺[正三・中将]のリーダーシップ・スタイルなどが関連していよう。
しかしそれ以上に重要なのは、鵯越作戦計画が上級司令部の同意と許可を得ていくプロセスに示された、「人情」という名の人間関係重視、組織内融和の優先であろう。そしてこれは、作戦中止決定の場合にも顕著に現われた。
出典:『失敗の本質』一章 失敗の事例研究――インパール作戦「アナリシス」(文庫版 pp.176-177)
正解は5~6年後(ウソ)
正解はこちらのサイトで2020年に発表します。
ごめんなさい。ウソです。
「東京オリンピック・パラリンピック」を謳った詐欺にご注意ください
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催決定以降、東京オリンピック・パラリンピックを謳った詐欺まがいの勧誘が多発しているとの報道が出ております。
くれぐれもご注意ください。
ですって!
その筆頭が、新国立競技場ってことでしょうか。
どこまでいってもメシウマです。
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