「STAP細胞は存在するか?」を「目玉焼き」のたとえで説明してみる

こんにちは。

科学的な話が伝わりづらい人にどう説明すれば伝わるかを試みています。

「STAP細胞は存在するか?」という件、目玉焼きにたとえてみます。

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説明する内容

こちらの見解に基づいて説明します。

  • 「STAP細胞は存在するか?」の答えは、現時点では「しない」です。
    作製されたことを裏づける証拠は、今のところ見当たりません。

補足しておきます。

「しない」とはあくまで、記事を書いた「現時点」での話です。将来にわたって「存在しない」「作製が不可能」という意味ではありません。

共著者や理化学研究所の周辺から「仮説に戻った」とか「存在するともしないとも言えない」といったコメントが出ているのも、そういう意味です。

補足:「再現試験」は誤解される名称

ついでに述べておくと、本件において検証のために行う試験を「再現試験」と呼んでいることは、誤解を生みやすく適切な表現とは思えません。「再現」だと、過去に一度でも成功したかのようなニュアンスがあるからです。

数々の不備が指摘された原論文が、既に科学的な価値が認められなくなっている現状と矛盾します。

検証作業については、「再試験」とか「追加試験」のような言い方にした方がいいように思います。

おことわり

以下の文は、読者諸氏が「だいたいの理解を得ること」を目的としています。

すべてが事実ではありません。嘘のコンタミ(contamination, 混入)があることを最初におことわりしておきます。

なお文責は当方にあります。

「STAP目玉焼きはある?」にズバリ答えます

理化学研究所の研究ユニットがその作製方法を述べた論文が英国の雑誌『Nature』に掲載され、大きな話題となった「STAP目玉焼き」。とりわけ研究ユニットリーダーの小保方晴子さんが、一躍脚光を浴びる存在となりました。

しかし一転、研究論文について数々の不正を疑われる事実が指摘され、「STAP目玉焼き」の存在にも疑惑の目が向けられます。

4月9日の記者会見で、小保方さんは「STAP目玉焼きはあります」と答えていました。しかしそれを裏づける新たな証拠は示されませんでした。

はたして「STAP目玉焼き」はある?ない? 一体どうなのでしょうか。

「難しいことはよくわからない」という人のために、そこをズバリお答えします。

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STAP目玉焼きの作り方

小保方さんらの論文によれば、STAP目玉焼きを作るのに必要なのはこれだけです。

  • 生卵
  • お酢
  • 茶碗

作製手順は次のとおりです。

  1. 茶碗に卵を割り入れる
  2. お酢を加え、30分待つ
  3. しばらく揺する

常温環境下でも、それで目玉焼きが作れるというのです。従来の目玉焼きの常識を覆す、画期的な作製方法でした。

あまりに画期的であったため、当初ネイチャーの論文審査員からは、目玉焼きの歴史を愚弄しているとまで言われました。「世紀の大発見」であったのもうなずけます。

STAPとは?

いまや多くの人が話題にする「STAP目玉焼き」。さて「STAP」ってどういう意味でしょう。答えられますか?

ここであらためて、STAPの意味を確認しておきましょう。

STAPとは、

  • Stimulus-(刺激を)
  • Triggered(きっかけに)
  • Acquisition of(獲得した)
  • Pluripotency(多能性)

の頭文字を取った略語です。よって、「STAP目玉焼き」を日本語で言うと、「刺激をきっかけに多能性を獲得した(=STAP)目玉焼き」となります。

「刺激」「多能性」って?

STAP目玉焼きが作られる「きっかけ」となっている「刺激」とは、「お酢」を加えて「揺する」というものです。

では、目玉焼きの「多能性」とは何でしょうか?

簡単に言えば「何に乗せてもうまい」ということです。

目玉焼きの多能性

目玉焼きは、何にでも乗せられます。

白いご飯はもちろんのこと、焼きめしにも、トーストにも、焼きそば、お好み焼きにも乗せられます。

ハム、ベーコン、ハンバーグ、ポークソテー、サラダ、野菜炒め、etc と何でも来いです。

味付け次第では、スイーツにも乗せられそうです。

何に乗せてもうまい。これを目玉焼きの「多能性」と言います。

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Google画像検索 より

誤解 ×「STAP目玉焼き」とは「新しい目玉焼き」

誤解している人も多そうなので触れておきましょう。

「STAP目玉焼き」と言っていますが、そういうスペシャルな目玉焼きが存在するのではありません。

真実 ○「STAP目玉焼き」とは「目玉焼きの新しい作り方」

「STAP目玉焼き」とは、「目玉焼きの新しい作り方」を指しているのです。

ですから、STAPによるにしろ何にしろ、作られた目玉焼きはどれも目玉焼きです。

判別はきわめて困難

仮にここに「多能性を備えた目玉焼き」が1つあったとして、それが「STAP目玉焼き」かを判別することはきわめて困難です。簡単にわかるものではありません。

STAP目玉焼きも、STAP以外の方法で作られた目玉焼きも、ひとしく目玉焼きだからです。

目玉焼きの作製方法について

従来の方法

目玉焼きを作るには、従来次のような方法がありました。主な2つを挙げます。

  • 火にかけたフライパンを使う
  • 電子レンジを使う

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いずれの方法でも、高い確率で目玉焼きが作れます。しかし、電気・ガスといった多大なエネルギーを必要とする難点がありました。

エコな方法

これらに対し、自然エネルギーのみでまかなう目玉焼き作製方法に

  • 夏の日中に、自動車のボディーを使う

というものがあります。これをエコロジーシステムの頭文字を取って、「ES目玉焼き」と言います。

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この方法では、人為的に生み出されたエネルギーは不要です。しかし真夏の炎天下という極めて限られた条件でしか作製ができず、また他人の車のボンネットを使うといった倫理的な問題もありました。

解決したのが「iPS目玉焼き」

この問題を解決したのが、京都大学の山中伸弥教授が開発した「iPS目玉焼き」です。

山中さんの方法は、「初期化」と呼ばれる、初期の生卵を特別な器具の中に入れるという操作によって、太陽エネルギーのみ、すなわち日光だけで目玉焼きが作れるようにするというものでした。

山中さんはこの研究成果により、2012年のノーベル医学生理学賞を受賞されています。

iPS目玉焼きの現在

当初は低かったiPS目玉焼きの作製成功率も、その後の器具の改良やノウハウの蓄積によって、近年では向上してきたといいます。いろんな食べ物に乗っけるという応用へも徐々に実用化の目処が立ちつつあります。

「STAP目玉焼き」の着想

さて「STAP目玉焼き」です。

このアイデアは、ハーバード大学付属病院のチャールズ・バカンティ医師が提唱してきたもので、従来の目玉焼きとはいくぶん作り方の系統が異なります。

目玉焼きを作るのに、熱ではなく「刺激」を加えるという発想に立っています。具体的には、酢を使います。

これまでも、牛乳が酸で固まる性質があることや、また、生卵を殻ごとお酢に漬けておくと、殻が溶けてスーパーボールに外見の似た球体ができることが知られていました。

※参考:酢と卵の実験|YouTube

そこから、お酢を使えば目玉焼きが作れるのでは?というアイデアが生まれたと考えられます。

STAP目玉焼き実験

果たして、卵とお酢と茶碗だけで目玉焼きが作れるのだろうか。そこを実験によって検証していたのが、理化学研究所の研究ユニットです。

STAP目玉焼きを作製する実験を担当していたのが、ユニットリーダーである小保方晴子さんでした。

STAP目玉焼きの「作製に成功」とは?

STAP目玉焼きの作製に「200回成功している」、小保方さんはそう答えられていました。ですがSTAP目玉焼きの実態に照らすと、そういうもの言いは不誠実と言えます。

1)やや専門的な話となります。

お酢に浸して揺すった生卵がSTAP目玉焼きになっているかどうかを、何をもって判断するのでしょう。それは光の反射率です。なかでも透明だった生卵の白身が目玉焼きになると不透明な白色となるように、卵白部分に大きな違いが出てきます。

目玉焼きでなくても、割った生卵に酢を加えると光の反射率が変わってきます。この屈折発光現象を、STAP目玉焼きで見られる反射の差と混同しているのではないか、というのが目玉焼きに詳しい専門家の間での見方です。

2)また、仮にSTAP目玉焼きらしきものが作製されていたとしても、それだけで「成功」と称するのは早計です。

なぜなら、既に述べたとおりSTAP目玉焼きの多能性はいろんな食べ物に乗っけることではじめて発揮されるからです。

  • それは本当に目玉焼きなのか
  • 多能性が発揮できているか
  • お酢に浸すことで思った以上に酸っぱいといった性質の差が出ていないか

そういった各点を入念に検証していく必要があるわけです。

多能性の検証方法:てりたまバーガー

STAP目玉焼きの多能性を検証するために、理化学研究所では目玉焼きを培養し、てりやきバーガーにはさんで「てりたまバーガー」にしていました。

このてりたまバーガーを使っての実験を担当していたのが、斯界のエキスパート、現在は山梨大学の教授である若山照彦・元チームリーダーです。

てりたまバーガーの謎

若山さんの「てりたまバーガー」にはさまっていた目玉焼きは、小保方さんが提供されたことになっています。これが実はSTAP目玉焼きではなかったのでは?という「捏造」の疑いが向けられています。

論文に疑問が提示されたことで若山さんが試料のDNA検査を行った結果、マクドナルドで作られたらしいと判明したためです。

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※画像はてりたま|マクドナルド

食い違う主張

目下の大きな争点となってきているのが、この「てりたまバーガー」です。

というのも、試料の「てりたまバーガー」の目玉焼きの味が、はさんだ両側のバンズやパテにまでしみ込んでいたことが確認されていたからです。これを専門用語で、目玉焼きのコントリビューション(寄与)と呼びます。

このような目玉焼きのコントリビューションは、通常マクドナルドのてりたまバーガーでは見られない現象でした。

STAP目玉焼きは作られた?

マクドナルドのてりたまバーガーでは、ふつう、目玉焼きの味が両方のバンズやパテにまで浸透していることはありません。これを根拠に、STAP目玉焼きが実際に作られたとする主張があります。

STAPでなくても同じ現象はある?

一方で、マクドナルド製のてりたまバーガーであっても、うち「亜集団」と呼ばれるおよそ2%の割合でバンズとパテにも味がしみているものがあるとも言われており、それが「STAP現象」の正体であるとの見方もあります。

STAPの正体見たりてりたまバーガー、といったところでしょうか。

姉妹商品の「チキンてりたま」さらには「てりやき月見バーガー」ともども、検証が待たれるところです。

まとめ

以上のとおり、現時点でSTAP目玉焼きの存在を裏づける証拠は存在しません。実験で観察された事実は、今のところ「STAP現象」の存在を前提としなければ説明がつかない、とまでは言い切れないからです。

「200回以上成功している」とする小保方さんの主張にしても、その「成功」の実態は、お酢による発光現象をSTAP目玉焼きのそれと混同しているのではとの見方が優勢です。

ここでむしろ疑われているのは、論文のみならず、実験過程にも不正があったことです。

くり返しますが、STAP目玉焼きの多能性は、いろんな料理に乗っけたりはさんだりして、はじめて確認できるものです。加えて、多能性を持った目玉焼きが「STAP目玉焼き」であるかの判別は、目玉焼き単体では非常に困難です。こういう状況や伝え聞く実験の分担体制からすれば、不正のコンタミ(混入)の余地は大いにあります。

これは僕の印象にすぎませんが、STAP目玉焼きをはじめとする小保方さんの世界の記述・叙述のしかたに、科学研究者らしからぬ軽薄さ、軽率さ、不誠実さを感じもします。

ご本人が言っていたとおり、彼女は半熟にすらなっていない、未熟な研究者です。ひよっこかと思えば、実はもっとひどく、卵にもなっていませんでした。そう言えます。

煮ても焼いても食えない、逆多能性を備えています。

参考サイト

ソースにしたテキストです。たとえ話でない話はこちらをご参照ください。

「難しいことはよくわからない」なりに、わかる話です。

用語の意味については、Wikipedia:刺激惹起性多能性獲得細胞人工多能性幹細胞 も参考にしました。

(2014/04/16追記)STAP細胞について、このうえなくわかりやすかった説明です。

こちらからは以上です。

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