Webギャラリー・東京五輪エンブレム「審査委員5/8+入選者3」展

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こんにちは。デザイン芸人「デザインや」です。

芸術の秋を先取りして、キュレーター気取りのデザイン芸人が僭越にもWeb展覧会を企画してみました。

要するに、ggg Books「世界のグラフィックデザイン」シリーズから8冊読んだ(鑑賞した)感想のアウトプットです。

企画の動機と目的

  1. 五輪エンブレムの審査委員会の席で何が起こっていたか?
  2. なぜあの作品が選ばれ、他の作品が選ばれなかったのか?

を、関係した彼ら彼女らの作品に触れて感じ取り、想像を膨らませたいと思いました。

あわせて、セールで割安だったとはいえhontoの電子書籍で「ついで買い」込みで3600円費やしたのもあります。

記事にすることで、投下コストを回収します。

要約:Executive Summary

ひと言で評すれば、次のとおりです。

(敬称略)

    I. 審査委員 5名/8

  • 変節の人 永井一正
  • 文字の人 浅葉克己
  • 早熟の人 細谷巖
  • モノトーンの人 平野敬子
  • Look at meの人 長嶋りかこ
    II. 入選者 3名

  • 無邪気の人 佐野研二郎
  • 空気入りの人 原研哉
  • 100年前の人 葛西薫

総合すると、思っていたより何倍も、それぞれの個性が際立っていました。

凡例

次のようなスタイルで記述します。

「こんな人」 氏名

(書籍から)プロフィール抜粋

<ggg Booksの書影・書誌情報(アフィリエイト付き)>

「こんな人」がうかがえる記述の引用

追加・補足コメント

「デザイン芸人選」の一点

特徴の出ていると思う作品>を一点紹介

【出典情報】作品名・リンクURLなど

I. 審査員:5名/8

以下、順に述べていきます。

変節の人 永井一正

1929年大阪府生まれ。

(梶祐輔氏の序文から)

さらにおどろくべきことだが、永井は60歳を超えたいま、じつに激しく自己変革をつづけている。

彼は若いときから今日まで、何回も大きな転換を重ねてきた。

抽象から具象へのチェンジを、これほど大胆不敵に、みごとにやってのけたアーチストを、ぼくは知らない。

一冊通しで見ていって、永井さんは変節を厭わない人なんだなと思いました。

デザイン芸人選・永井一正の一点

20150909_87tepco01

東京電力 CIデザイン(1987) www.ndc.co.jp/selection/87tepco/

既視感のある「3*3」のグリッドです。

文字の人 浅葉克己

1940年神奈川県生まれ。

(永倉万治氏の序文から)

浅葉さんは自分の発想の素みたいなものをこう考えるといった。
「タイポグラフィをやっていたせいか、文字を考える。例えば、山の風景を見て、そこから人間が“山”という文字を作った時のイメージにひかれる」

浅葉さんは、とにかく文字の世界で発想しています。字のない作品も、まるでひとつ(または複数)の象形文字を作っているかのようでした。

デザイン芸人選・浅葉克己の一点

20150909_poster12

「STOP AIDS」ロゴタイプ(1992) www.nostro-bosco.jp

早熟の人 細谷巖

1935年神奈川県生まれ。

(秋山晶氏の序文から)

彼は20歳ですでにスーパースターだった。

いつも思う。彼はアートディレクターという言葉では言いあらわせない。グラフィックデザイナーが広告の仕事をしているのだ、と。

感性が「永遠の20歳」です。

デザイン芸人選・細谷巖の一点

大塚製薬・カロリーメイト(1983-)

モノトーンの人 平野敬子

1959年兵庫県生まれ。

(永井一正氏の序文から)

平野敬子はグラフィックデザインの良心といえる存在だと思う。平野の信念は常に揺るがない。

平野はデザインによって、人間としての思いやりや品格、そして社会性や公共性の重要さを示そうとしてきた。

審査委員8名のうちで唯一、五輪エンブレムの最終デザイン案に反対したと伝えられている方です。

以下、8月28日 東京2020エンブレム 選考過程に関する記者ブリーフィング・質疑応答(全文)|聞文読報(2015/08/28付)より。

槙英俊(組織委/マーケティング局長)

委員のひとり、平野敬子さんは、真剣に検討し選んだものは、いちばん最初の原案であるので、ここについてはそのプロセスを経ていないということで、ご承諾いただけなかったわけでございますが

【2016/01/03追記】ただし平野さん本人は、ご自身のブログで、これは自分の言葉ではないとしています。

私が語った言葉ではなく、伝えた言葉でもありません。そして修正案を承諾しなかった理由でもありません。そのような発言をした記憶がありませんので、組織委員会が創作された文言だと思われます。

007 修正案承諾拒否の経緯と理由 – vol.1(2015/10/28付)

同じエントリに、組織委の事務方へ送ったご自分のメール文面を抜粋していました。

私は『これはデザインの冒涜であり、こんなものは認められません。』と言い続けています。

(追記ここまで)


平野さんの作品は、色付きでもモノトーンに見えます。たぶん、色彩がその本質ではないからだろうと思います。おかしな色に染まらない信念を感じます。

デザイン芸人選・平野敬子の一点

小沢健二「刹那」(2003)

Look at meの人 長嶋りかこ

1980年生まれ。茨城県出身。

(宮島達男氏の序文から)

彼女もまた、(略)常にアヴァンギャルドにカッコ良く攻め、人々に問いかけていけるのだ。
「あなたの本当のニーズは何ですか?」と。

作品というのは、だいたいが何らかの主張をしているものですが、その点を加味しても長嶋さんの作品からは「ねえねえ見て見て」の声が一段高く聞こえてきます。

デザイン芸人選・長嶋りかこの一点

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TOKYO ART MONTH カタログ(2011) rikako-nagashima.com

残る「3名/8」の審査委員について

毛色の違う業界の人だからでしょうけれども、残る3名の審査委員の方は「世界のグラフィックデザイン」シリーズには名前を連ねておりません。

氏名と関連リンクのリストアップだけしておきます。(敬称略)

II. 入選者:3名

報じられているところによれば、昨年(2014年)11月の審査で、次の3名の方によるデザイン作品が入選しました。

無邪気の人 佐野研二郎

1972年東京都生まれ。

(佐藤可士和氏の序文から)

彼の根底には、時代とかトレンドとかファッションとか、一切のそういうものに関係なく、純粋に人が喜ぶこと、嬉しい、幸せだと感じることをやりたいという想いが流れているのだ。

決してデザイン上の文脈で普遍的な形やコンポジションを作ろうとしているのではない。もっと人間的な素朴なところでコミュニケートしていこうとしているところが彼の最大の魅力であり強さであろう。

あれやこれやと情報が入りすぎているのがアレですが、近くにいたら、私は好きになるタイプの人だと思いました。

デザイン芸人選・佐野研二郎の一点

20150910_side_image1

佐野研二郎展_ボツ・ポスター(2007) rcc.recruit.co.jp/gg/

以下、同サイト記載のインタビューからです。

前からデザインの仕事というのは、“ボツ”の連続だなって思っていて。

最終段階で、文字の形が微妙に変更になったり、いろんな段階で“ボツ”が出てくるんですね。

僕のデザインって、楽そうだなって思われるんですけど(笑)、完成するまでにはいろんな試行錯誤がある。

制作プロセスまでが無邪気すぎたので、そこは改めるところだと思います。

空気入りの人 原研哉

1958年岡山県生まれ。

(隈研吾氏の序文から)

原研哉の印象を一言でいえば、控え目で繊細で、しかもアンビシャス(略)これは決して矛盾ではない。

原はヴィジュアル・コミュニケーションという枠さえも壊そうとしているのである。

原さんの作品はどれもふわふわ、ふんわりしています。触れるとぺこんと凹みそうな感じです。

デザイン芸人選・原研哉の一点

20150910_1_01 20150910_3_02

森ビル VI(2000) www.ndc.co.jp/works/moribuilding/

100年前の人 葛西薫

1949年札幌市生まれ。

(仲條正義氏の序文から)

優秀な少年だったと思う。

彼の創造はすべてを素手でつかみとり、透明で迷いの痕跡が見えない。それは彼が経験とか技法とか或いは学習すら蓄積しないから。

時流におもねった感じがなく、どこか超然とした作風です。1920~30年代あたりの郷愁も感じます。でも現代的側面も備えています。通しで見ていると、時代感覚が少し変になりました。

デザイン芸人選・葛西薫の一点

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サントリー烏龍茶・ポスター(2007)adv.asahi.com

※上のものは、ggg Books未収録です。

総評

一人ひとり、思ったより何倍も、作品の個性がはっきりしていました。

もし発注者なら、適切な依頼相手がわかってきた気がする

もし今後、自分が何かデザイン案件を発注することがあるなら、この案件なら誰、こっちはこの人という具合に、誰に頼めば自分のイメージに近いものが出来上がってくるか、大まかにでも把握できた気がします。

もし審査委員なら、審査中に作者がわかってしまう気がする

で、もし自分がオリンピック・パラリンピック大会エンブレムの審査委員だったとすると、たとえ応募者名を伏せていても、いま審査している作品の作者が誰なのか、途中でおおよその見当がつきそうです。

お帰りはこちら:ギャラリーショップ

ggg Books「世界のグラフィックデザイン」シリーズは、hontoの電子書籍で購入するのがお得です。

以上です。デザイン芸人のWebギャラリーにご来場ありがとうございました。

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