【リスト】通産省発・昭和60年の「一丁目一番地」12連コンボ

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こんにちは。

永田町方面を中心に多用される「一丁目一番地」という言い方があります。「最優先課題」(コトバンク > デジタル大辞泉の解説)ぐらいの意味です。

国会会議録での初出は、昭和60年(1985年)です。時の通産大臣の発言を皮切りに、突如、全部で12の議事録に集中して表れます。

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※経済産業省本館 from commons.wikimedia.org

昭和60年・通産省「一丁目一番地」全集―国会会議録から

以下、国会会議録検索システムを使って検索した結果を一覧にしてみました。

初出(#01)

「最優先課題」という意味での「一丁目一番地」の初出はこちらです。※強調・下線は引用者。以下同じ

情報化社会というのは、二十一世紀に向けての大きな変革の一つでしょう。これと技術開発問題が一番重要だと思っております。これは通産省の一丁目一番地だということで督励をしておるわけでございますが、

出典:昭和60年2月15日 衆議院予算委員会

発言者は当時の通産大臣、村田敬次郎(1924-2003)です。

正確には「通産省用語」

この用例を見ると、現今見られる用法とまったく遜色ありません。昭和60年の時点で、初登場とは思えないほどにすっかり仕上がっています。

ですので「一丁目一番地」とは、通産省での内部用語が発祥、というのがたぶん正しい記述です。

省内で用法が磨き上げられたうえでの、大臣発言としての「国会デビュー」と推察します。

#02~#12

残る11件も、すべて通産省方面からの発信です。

発言抜粋、発言者、日付、会議名をそれぞれ列挙しておきます。なお名称・肩書き等ははいずれも当時のものです。

通産省による昭和60年の「一丁目一番地」推しをお楽しみください。

2月(#02-1, 2)

大きく申しますと中小企業の技術革新、情報化への対応ということが言うなれば一丁目一番地である、これが一番大事であるという認識を持っておりまして、

実は基盤技術というのは御指摘のように通産省の一丁目一番地ということで、六十年度に向けての重要施策で、現在法律案が国会に上程をされたところでございます。

いずれも、2月22日 衆議院商工委員会での村田敬次郎大臣の発言です。

3月(#03~#08)

来る新年度に向けて、通産省は怒濤の追い込みを見せます。

用例から読み取れるのは、「省益争いに敗れる」という通産省の危機感です。2ちゃんねる風に言えば「通産省必死だな」です。

#03

十月一日からの基盤技術研究促進センター、こういう事業がございます。通産省のサイドでは、一丁目一番地なんという言葉で、これは六十年度予算の目玉である、こういう位置づけをなされておるようでございますし、郵政の方もそういうことかもわかりませんが、これは通産、郵政共管というセンターの設立が本年十月一日なされるわけでございます。

山田英介委員(公明党)@3月7日 衆議院逓信委員会

#04

今問いかけられました資金の問題あるいは管理運用、また科学技術庁との関連等についてお答えを申し上げたいと思います。
技術開発というのは通産省では一丁目一番地と言っておりまして、新しい時代に対応する一番大事なことだ、これと情報化への対応が一番大事だということを私はかねがね申しておりまして

村田敬次郎@3月7日 衆議院予算委員会第六分科会

#05

私どもは技術開発は一丁目一番地である、これからの新しい時代に通産行政は対応していかなければならないという考え方のもとに、こうした税制改正によって中小企業振興、基盤技術開発のための設備投資が促進されるものと期待をいたしております。

村田敬次郎@3月20日 参議院本会議

#06

例えば情報の問題は、この法律を通していただくことによって大きく前進をさせたい。また、技術開発の問題等につきましても、これは通産省の一丁目一番地であるということで努力をしておるところでございまして、そういった懸命の努力をしてまいりますので、ぜひ御理解を賜りたいと思うのでございます。

村田敬次郎@3月26日 衆議院商工委員会

#07-1, 2

…まさに技術革新というものが非常に大事である。そしてまた情報化に対応することが一番大事であるという観点から、技術革新は、例えば通商産業省にとっても一丁目一番地であって、この問題の振興によって今後の産業社会への対応をしていきたいという考え方でございます。

言うなれば、この新しい時代に対応して通産行政、産業振興というものはいかにあるべきか、それは一丁目一番地と言われる技術開発を推進をしていくことである。もちろん、これは通産省一省でできることではありませんから、郵政省であるとかあるいは政府全体の力として推し進めていくわけでございますが、そういった趣旨で基盤技術ということを理解をいたしております。

以上、村田敬次郎@3月27日 衆議院商工委員会

#08

技術開発を私どもは一丁目一番地と呼んでおるのでございますが、同時に、高度情報化社会の実現に向けて総合的な政策を展開すること、また自由貿易体制の維持強化や総合的経済協力の推進などによって国際国家日本として国際社会に積極的な貢献を図ることなど、技術開発あるいは情報化への対応、また自由貿易体制の維持強化、総合的経済協力の推進など、諸般の施策を強力に推進をしていきたいと、このように考えております。

村田敬次郎@3月28日 参議院商工委員会

5月

#09-1, 2

科学技術予算の確保というのは非常に大事な問題でございまして、連年その点については通産省努力しておるところでございますが、今後は技術開発は非常に通産省の一丁目一番地と言われる大事な問題でございますから、特に力を入れて努力をしてまいる所存でございます。

日本は、高度成長時代においては欧米諸国に追いつけ追い越せといったような気迫で進んでまいったわけでございますが、ここへ参りまして欧米と対応をする日本のあり方ということがいろいろ言われるようになりました。例えば通産省では、技術革新のことを一丁目一番地、こういうふうに呼んでおりまして、これからのあらゆる通産行政の原点ではないかというふうな認識をいたしております。

以上、村田敬次郎@5月14日 参議院商工委員会

#10-1, 2, 3

通産省がことし、いわゆる一丁目一番地の施策として技術開発というのを取り上げているわけでございますが、

そういった柱と並べまして、技術と情報に対応する中小企業への助成というのを打ち出したわけでございます。これも実は中小企業施策の中の一丁目一番地と位置づけております。

経過的にはむしろ私どもの方が、ベンチャービジネス研究会が発足したということから考えますと、我々の方が一年先輩であったわけでございますが、たまたま、そういう通産省全体としての実態認識から、政策的位置づけとしては、ともに一丁目一番地の施策として考えられたわけでございます。

以上、黒田明雄政府委員(中小企業庁次長)@5月28日 参議院商工委員会

11月(#11)

通産省では一丁目一番地というようなことを言っておりますが、それは技術開発と情報化のことだと思っているわけでございます。

村田敬次郎@11月21日 参議院商工委員会

12月(#12)

通産省では、二十一世紀を目指していつも言っているのはどういうことかといいますと、技術開発、それから情報化への対応、これを一丁目一番地と言っているんですね。

村田敬次郎@12月6日 参議院内閣委員会

昭和60年の通産省「一丁目一番地」まとめ

具体的に、村田敬次郎大臣らが何を「(通産省の)一丁目一番地」と言っていたかというと、

  • 基盤技術
  • 技術開発
  • 技術革新
  • 情報化への対応
  • 以上に関する中小企業への助成

です。

考察:通産省必死だな

これらの、村田大臣らによる数々の発言からは、情報化時代到来に伴う産業構造の変化によって、通産省が省益争いに敗れて主導権を失い、他省庁の後塵を拝することを極度に恐れていることが見て取れます。

そのような外部状況への危機感を背景に、通産省の省内用語として生まれた「一丁目一番地」は、霞が関の省益争いの生んだ副産物とも言えそうです。

次回予告

前述のとおり、昭和60年に通産大臣らの口から突如「一丁目一番地」の「ヘビーローテーション」が始まったのは、産業構造の変化に伴う「通産省の危機感」を象徴する、言わば「省益争いの副産物」とも解釈できます。

ではなぜ、それが「昭和60年」であり、その表現が「一丁目一番地」だったのでしょうか?

思うに、きっとあのイベントの影響です。

考察結果は、次の記事に書きます。

つづく

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