『紋切型社会』の「性感語」を解きほぐす:(2)規模・温度・期待の「感」

こんにちは。

武田砂鉄さんの『紋切型社会』の「性感語」にむやみに引っかかってみる「何と戦っているんだ」シリーズ、2回目は「感」まとめてです。

この記事ですること

『紋切型社会』のテキストを対象に、「性感語」の「感」を検討します。

性感語とは

性感語とは、たとえば「人間」「存在」のように、末尾に「性」または「感」の付く言葉を指します。昨日私が造りました。

前回のあらすじ

1回目は同書のテキストから、私の気になる性感語第1位の「関係性」を取り上げました。

『紋切型社会』の「性感語」をむやみに解きほぐしてみた件:(1)関係性(2015/06/24)

関係性に性は必要なのか?という考察の序論です。結論は出ていません。

ということで、第2回の本題に入ります。

『紋切型社会』の気になる性感語(2):「感」3題

文中から、次の3つの「感」を取り出して検討します。

  • 規模感
  • 温度感
  • 期待感

以下、引用の下線部はいずれも引用者によるものです。

規模感

…平川克美『「消費」をやめる 銭湯経済のすすめ』(ミシマ社)は、『ドラえもん』の土管のある空き地の規模感こそ経済であり世界ではないかと指南する一冊。

―13「うちの会社としては」p.173

これは「感」でいいのかなと思います。

ここで取り扱うのは空き地の規模そのものではなく、その規模から感じ取れる「感」です。その「感」を炭火の火種のごとく持ち運び、別のどこかへあてがうという作業をしています。

温度感

対談の温度感を伝えるために「(笑)」を入れたり、「はははは。」と大盛り上がりする様子を伝えたりするのと、この承認の連発とは位相が異なる。

―10「なるほど。わかりやすいです。」pp.135-136

感のない温度でも構わないと思います。

「温度」は比喩としても使える言葉です(例:温度差)。感がそんなに大事でしょうか。

自分なら別の言葉を使うかも。「雰囲気」「模様」とか。

期待感

東大話法が、本質的な意味での〝世界〟を傷付けた後もなお開き直っている現状を知ると、無個性な成城大話法に新たな役割が回ってきているのではないかという期待感も持てるのだが、どうなのだろう。

―16「誤解を恐れずに言えば」p.220

主観の話なので、期待でいいです。

性感語の「感」序論

「○○感」は、主観に属する言葉です。

もう少し詳しく述べると、「○○感」の「感」とは、○○を主観に結びつけるための言葉です。

たとえば「空虚感」は、抽象領域にいる「空虚」を「感」によって主観の領域に取り込んでいるといえます。

「感」とは主観に属する言葉ですから、

  • 存在しても「存在感」には直結しませんし、
  • 果実を増やしても「果実感」がアップするとは限りませんし、
  • 一体でないのに「一体感」を持てます。

このように、客観よりも主観が優先します。

あるいは「自己肯定感」のように、感を除いた「自己肯定」もまた主観に属するという、「主観ショート」な回路の例もあります。

ひとまずはここまで。

『紋切型社会』がそうだという意味ではないですが、どうも昨今、無用な「感」が乱発されているような気がしてなりません。

あと、ここではことわりなく客観という言葉を使いました。客観というのは他者の主観のことです。

気が向けば別途詳述します。

現場からは以上です。いったんお返しします。

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