驚いた。国際基準では、出張も「ツーリズム」だったぞ。―続「観光」考

こんにちは。

前に書いた「驚いた。国の基準では、出張も「観光」だぞ。」のつづきです。

前回のあらすじ

観光庁が「観光入込客統計に関する共通基準」(2009, 2013)で定める定義では、会社の出張も「観光」に入ります。旅行の目的にビジネスも含まれているためです。びっくりです。

国の役人にとっては、出張も観光も差がないから違和感がないのだろうか。と、安い官僚批判をしておきました。

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要約:Executive Summary

ビジネスも「観光」に含むのは、国際基準でした。

さらにびっくりです。

解説

観光に関する統計の推奨基準を定めたUNWTO(世界観光機関)の文書

International Recommendations for Tourism Statistics 2008 (IRTS 2008)(PDF)

20150416_recommendations

で、定義がされていました。

要約すると、

  • 目的・期間によらず、異なる地点間を移動する人すべてを「トラベラー」(2.4)
  • トラベラーの活動が「トラベル」(2.4)
  • 「トラベラー」のうち、目的、期間についての要件を満たす人を「ビジター」(2.9)
  • ビジターの活動が「ツーリズム」(2.9)

です。詳細は次のページから原文ドキュメントを参照してください。

Manuals on Tourism Statistics and Tourism Satellite Accounts(最終更新:2011/02/28付)

私が見たのは英語版ですが、公用語の各国語版が揃っています。

ビジターの要件

「IRTS 2008」の2.9で、「visitor」をこう定めています。

A visitor is a traveller taking a trip to a main destination outside his/her usual environment, for less than a year, for any main purpose (business, leisure or other personal purpose) other than to be employed by a resident entity in the country or place visited.

整理して訳すと

    <ビジターとは>

  • あらゆる目的(ビジネス・レジャー・その他個人的な目的)
  • ※ただし、訪問先の土地で雇われることは除く

  • 日常生活圏の外へ
  • 1年未満の期間

旅行する人のこと。

です。

でもって、

Tourism refers to the activity of visitors.

「ツーリズム」とは、ビジターの活動を指す。

ということです。

観光庁の定義と一致

IRTS 2008での「tourism」の定義は、観光庁「観光入込客統計に関する共通基準」での「観光」の定義

本基準では余暇、ビジネス、その他の目的のため、日常生活圏を離れ、継続して1年を超えない期間の旅行をし、また滞在する人々の諸活動とします。

に重なります。

観光庁も、国連機関の基準に準拠していたわけですね。

まとめ

出張のようなビジネス目的の移動も、国際基準では、「ツーリズム」に入ることがわかりました。

としてみると、「観光」に「tourism」の訳語の役目をさせているのは、どこかバランスの悪い印象が否めません。

といって、いい改善案が見つかりませんので、さしあたり国際基準では出張もツーリズムのうちであると留意しておくことにします。

こちらからは以上です。