足りなかった「的確なガヤ」―9月15日「あすなろラボ」林修さん授業感想(3)

こんばんは。林修ナイトの時間です。

「あすなろラボ」授業の感想シリーズ、その3です。

この記事に書くこと

教室の中に的確な「ガヤ」を出せる人がいなかったです。

そのため残念に感じたところが2か所ありました。

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「ガヤ」

「ガヤ」という言葉があります。「ガヤ芸人」などという使い方をします。テレビのバラエティ番組にまつわる文脈でしばしば見聞きする言葉です。

「ガヤ」という言葉の意味は「番組を盛り上げるための言動」ぐらいに僕は理解しています。

ひとつ付け加えると、その時点その時点の中心ではない出演者から出されるのが「ガヤ」の条件となるでしょうか。たとえ「盛り上げるため」でも、MC役など番組進行の中心ラインから発せられた言動は「ガヤ」に該当しないように思われます。

意図はあったが必ずしも的確でなかった

僕は前の記事で、生徒も芸能人であることから、今回の授業は授業の形式をした一種のひな壇トークだったと述べました。

今回生徒だった芸能人も、そこは認識していたと思います。盛り上げようとする意図は全員から感じましたから。

しかしながら、生徒によるガヤは必ずしも的確でなかったです。

トレーニングはあるのだろうか

こういった番組に出演されるタレントさんは、ひな壇トークでのポジショニングやトークの出入り、ガヤのテクニックなどを、はたしてどの程度所属事務所から教わって、あるいは自身で勉強をしているものなんでしょうか。

あるいはOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)名目で、事実上現場へ丸投げなんでしょうか。

素人目には、今回の恋愛論以上に、実践に頼りすぎて理論がなおざりにされているか、そうでなくても理論の非常に偏った一面のみが伝えられているように感じます。でなければ、こんなことにはならないだろうからです。

残念だったくだり2つ

的確なガヤ不在のために、見ていて「あーそうなっちゃうかー」と残念に思ったポイントが2か所ありました。

その1.本を読む奴はおらんのか

1か所めは、恋愛の教科書として林さんがスタンダールの『恋愛論』に続き、『東京いい店やれる店』を紹介した瞬間です。

生徒は反応していました。しかし、どれもテキストに採録するほどではありませんでした。

なぜならこのケースで言えば、『東京いい店やれる店』に対して「本を読む人」のリアクションがひとつもなかったからです。

『東京いい店―』を読んでいないことは問題ではありません。読んでいなくても同書の存在を知っていれば「それかぁ」的なガヤになるでしょうし、たとえ同書の存在を知らなかったとしても、大まかにでも世の中にどんな本が出回っているかをつかんでいれば、「そこを衝いてくるか」的なリアクションになるはずです。

しかるに生徒の反応は、ただ単純にその場で初めて見て知った本のタイトルに対してでしかなかったように観察されました。

6月9日放送の授業で、「本を読まない奴は嫌い」と言い放っていた林さんにとって、前途は長そうです。

僕自身は、本を読まない人をそれだけでは嫌いません。本を読まなくても面白ければいいです。本を読まない人の中にも、面白い人や、世の中から学んでいろんな意味での知性を備えている人はいます。

ただこの瞬間の生徒のリアクションは、面白くも知的でもありませんでした。それが残念でした。

その2.絶好のフリが流される

2か所めは、林さんが奥様に言及したこのくだりです。

林「うちの嫁とか、あのぅテレビドラマとかのセリフで、女性が「幸せにしてね」って言うとけっこう冷ややかですよ。そういうふうに言うようじゃ幸せになれないわね。幸せになるかどうか。幸せは人にしてもらうものではない。まそういうとこ僕好きなんですけどね」

林さんが意図的だったかまでは推し量りかねますが、どうぞつっこんでくださいと言わんばかりの絶好のフリだったのに、生徒らには、見事すぎるほど華麗にスルーされてしまいました。

僕がひな壇芸人だったなら、この状況に「ちょっと!」と叫んで立ち上がるほど、これはひどかったです。

余談:配偶者を何と呼ぶか問題、ここにも

余談と過去記事の宣伝を兼ねて。林さんがご自分の奥様のことを「嫁」というのを、僕は初めて聞きました。どういった心理からの語法だったのでしょうか。

(2013/10/11追記)「初めて」は訂正します。「怪傑えみちゃんねる」(8/2 関西テレビ)出演時にも言われてました。

このあたりは、一般論として以前記事にしています。
ネットで自分の配偶者を何と呼ぶか問題(2013/07/17)

番組全体としては的確だった

もっとも、番組全体として見ればこのくだりの処理は的確でした。スタジオでこの授業VTRを見ていた加藤浩次さん、高島彩さんの番組MC2人が、こう言っていたからです。

加藤「のろけたねぇ。のろけたねぇ」

高島「のろけたのに流されましたね」

そのとおりです。非常に的確です。

次回予告

次の記事ではこのようなバラエティ番組の構造について述べます。

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