完結・デブが座席を占めるとき(3L)―「1人2座席」問題の解決を図る

こんにちは。毎度ご乗車ありがとうございます。

デブと座席を考えるシリーズの3回目です。いちおう完結編です。

ルールの整備を図ることで、デブにもやさしい鉄道を目指します。

ここまでのあらすじ

  1. デブが座席を占めるとき」では、「デブが新幹線に乗るときは、普通車指定席2つを確保する」ことを明らかにしました。
  2. つづく「続・デブが座席を占めるとき(2L)―列車の「1人2座席」に正当性はあるか」では、JRの旅客営業規則から何から、どいつもこいつもが二流なせいで、「1人2座席」の正当性が担保されているかがよくわからないことになっていることを、るる説明しました。

この記事では、かかる事態の打開を目指し、問題の解決を図ります。

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問題点の再確認

問題の、旅客営業規則(この記事では以後「規則」とします。)の第147条第5項を再掲します。

同一旅客は、同一区間に対して有効な2枚以上の同種の乗車券類を所持する場合は、当該乗車については、その1枚のみを使用することができる。同一旅客が、同一区間に対し有効な2枚以上の指定券を所持する場合についてまた同じ。

下線部分の末尾が「ことができる」であるために、次の2つの問題が生じていました。

  • どう読んでも意味がわからなくなっていること。
  • 結局「1人2座席」が正当なのか不明なままであること。

これをなんとかしていきます。

※関連リンク:本州JR各社の規則 JR西日本JR東海JR東日本

目的

誰もが(特にデブが)正当に「1人2座席」を利用できるようにすることです。

改善目標

目的を、なるべく手間をかけずに実現することです。

改善案の検討

3つの方向性から案を考えました。

案1.規則の文言を変更する

1)文末表現の変更

引用下線部の文末を、「ことができる」から

  • 1枚のみを使用するものとみなす

に変更します。

こう規定しておけば、「2枚目以降は無効」も明確になります。で、そちらは使われなかった乗車券類とみなして扱えばよろしい。

しかしこれだけではダメです。「1人2座席」もダメになるので、目的を果たしません。規定を加える必要があります。

2)デブに関する規定を追加する

文言は精査が必要ですが、1)の変更を加えた上でこんな感じの一文を挿入します。

  • ただし、同一旅客が隣接する2座席を占有する場合は、この限りではない。

これで、デブの「1人2座席」の正当性が担保されます。

案2.2座席分を1枚の券で発行する

規則はいじらず、切符の側をいじる発想です。

2座席分が1枚になった切符にすれば、現行の規則のままで何も問題ありません。「1枚のみを使用」ですから。

ただ詳細はわかりませんが、発券システムの改修工数がかさみそうです。規則が「1人1枚」の発想で設計されていますから、現行の発券システムでも対応できるように作られていない気がします。

コスト面ではマイナス評価です。

案3.何も変更せず、解釈で乗り切る

考えてきて、「条文の方はこのままでいいのかな」という気もしてきました。

というのも、デブの方のケースを「1人で2座席分を買って2枚とも行使している」と解釈し、この解釈を是とするならば、規則の条文は現状のままでも特に問題はないからです。

規則の「1枚のみを使用することができる」については、
 それもありだし、(明言されていないが)「2枚使うこともできる」

というふうに読めば矛盾は生じません。

現場では、デブの同一旅客が2座席分を占有しているわけですから、指定の乗車駅から乗っていない場合に、その席を他の旅客に売っていい(第174条)という規定も適用されません。

案3’.快速指定券には課題あり

ただこの案で行く場合、特急・急行以外の、たとえば「ムーンライトながら」のような指定券の必要な快速列車で不都合が生じます。

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不都合が生じるのは、「となりに人が来てほしくない」という動機で、指定券(510円)を2座席並びで購入されるケースです。

乗車時に片方を空席のままにしていたなら、規則の第174条を根拠に空席に対し他の乗客に指定券を出せますが、足を乗っけてるだとかしていて、両方を占有されているケースでは現行の規則だと対抗ができません。

通常時には問題ないですが、席が取りづらい多客期にこれをやられると鉄道会社にとっては迷惑な話です。

なぜなら機会損失になりますし、たとえ2座席分、乗車券も含めての料金まで支払ってあったとしても、席を確保できない他の乗客の不満が募るからです。これはいかんです。

解決のためのルール私案

こうしたケースに備え、条文の文言や落とし込み先などは追って要検討ですが、次のような規定を加えればいいと思います。

  • 同一旅客は、指定券を2枚購入することで隣接する2座席を占有して使用できる。この場合、2座席目の指定券料金は、「指定券」+「利用区間の普通運賃」とする
  • 列車内に他に使用できる座席がない場合、上にかかわらず乗務員はこの乗客に対し、2座席目の明け渡しを命じることができる。乗客は対抗できない。
  • ただしデブが使用する場合は認める。「デブ」の判断は乗務員の裁量による。判断結果に乗客は対抗できない。

通常時は2座席使用は認めますが、満員になった場合には、たとえ2人分の「運賃+指定券」を払っていようが、正規に料金を支払った別の乗客に2座席めを明け渡さなければならないというルールにします(ただしデブは除く)。

「金払ってるんだからいいだろう」よりも、利用者全体の効用を上位に置く考え方です。

ここらあたりの発想に関しては、別記事の「指定席に対する考え方を改めた話」もご覧ください。

結論

となってくると、コストは共通見解をつくる手間だけである案3がいいのかな。

僕は現場を知りませんが、指定席快速の問題が看過できない現状になっているのなら、案3’も合わせて片づけましょう。

とまとめたところで、ノーマネーでフィニッシュです。

ご静聴ありがとうございました。

コメント

  1. はじめまして。一人2席のキーワードで来ました。

    私の場合は、鉄道より狭い高速路線バス(しかも夜行)を利用する際、自分が大柄なので隣に人が来たら嫌だな、といろいろ調べ、バス会社にも問い合わせました。
    夜行バスは男性の隣は男性になるので、相方も大柄だと悲惨です。
    (「ウエブサイト」のリンク先に「高速路線バスの一人2席を考える」をアップしました)

    臨席確保サービス、一人2席サービスをしていないバス会社の場合、「大人1枚、小人1枚」を並びで購入すればいいそうです。
    知恵袋などでは「大人2枚」買った人も居るようですが、個室グリーン車の穴埋めの際に穴埋め分は小人の乗車券でよかったことを思い出し、2社に問い合わせたところもう1枚は小人の乗車券でOKでした。

    従って、JRに一人2席を認めさせるようにする際には、2席確保に対し「大人1枚、小人1枚」を購入すれば良いのではないでしょうか。

    一人2席が乱用されて利用率が低くなってしまう対策としては、「駅長が承認した者については、1.5倍の運賃、料金で2つの指定席を使用できるものとする」という条項を付け加えたうえで、駅の窓口で駅員が判断して販売するようにすれば、1人1席で充分な旅客の2席使用は抑止できます。(デブによる代理購入という裏ワザは残りますが)

  2. ヤシロタケツグ より:

    しゅんしゅん様
    コメントありがとうございます。

    現場ではある程度運用で対処できているのですね。事業者側が「大人1+小人1」でいいというなら、こちらに特に異論はないです。

    リンク先(高速路線バスの場合)拝読しました。
    個人的には前後の方が辛く感じますが、記事にあったとおり、4列シートの横幅だと大柄な人にはきついでしょうね。

    情報ご提供ありがとうございました。

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