「シン・ゴジラ」冒頭語る会(3)4DXがMX4Dを「秒殺」した話

こんにちは。微細会代表のヤシロです。

このたび頼まれてもいないのに「シン・ゴジラ」を微細に語る会(略称:微細会)を発足させ、代表に就任しました。身が引き締まる思いであります。

ごあいさつがわりに冒頭の約30秒間だけを語るシリーズ、今回が第3弾でございます。

※画像は、シン・ゴジラ|シアターリストより

過去のシリーズは、#1「見どころ」篇、#2「聞きどころ」篇:冒頭20秒の伊福部昭を聴け!です。あわせてどうぞ。

比べてみた「シン・ゴジラ」4D上映、秒殺で4DXの勝ち

シン・ゴジラは「4D」と総称される方式でも上映されています。4DX(CJ 4Dplex社)、MX4D(MediaMation社)の2種類を鑑賞してきました。

「4Dってなに?」という向きにはこちらが参考になります。

さて、両者を比べると「秒殺」で4DXの勝ちでした。冒頭約30秒間のシートのアクションがぜんぜん違った。

寸評するとこんなところです。

  • 4DX:優。「理科わかってるね~」って感じ。
  • MX4D:可。ダメではないけど、センスがもっちゃい。

4DXのアクションの付け方はとっても立体的で、文字どおり次元が違ってました。

さらに、以上の寸評は付けられていた効果全体の印象とも共通しています。

4D上映、冒頭30秒間の感じどころ

以下、感じどころを語ります。

比較対象

当記事での「MX4D 対 4DX」の比較対象は、本編「東京湾 横浜沖」に入るまでの冒頭約30秒間のアクションです。

さらに具体的に特定すると、一連の

  1. 東宝マーク
  2. 東宝マーク
  3. 東宝映画作品
  4. シン・ゴジラ
  5. 映倫

で、2.の途中あたりから「足音」3回「鳴き声」1回「足音」1回と、伊福部昭作曲の初代《ゴジラ》の劇伴〈M2〉の5小節が鳴ります。その約20秒間の音響に対する特殊効果です。

違いは「タイミング」

違ったのは足音部の「ドーン」です。アクションの付け方がぜんぜん違いました。端的に述べれば、MX4Dが平面的(2D)で、4DXが立体的(3D)です。次元が違います。

鑑賞順序は4DX→MX4Dでしたが、入れ替えて書きます。

MX4D=「2D」

「ドーン」に合わせて座席も揺れます。まあ、ふつうです。

4DX=「3D」

ところが4DXの場合、座席の振動が「ドーン」よりわずかに早くきました。座席揺れーので、「ドーン」です。3回目の「揺れからのドーン」で「あれ?これわざと?」と疑って、最後も同様のタイミングだったので「ならすげーなオイ」と感服しました。

自分の記憶違いでないのを確認しにもう1回行こうかと思っているほどで。

「合理的」で「立体的」だった4DX

4DXを体験して、冒頭で「理科わかってる」感を強く覚えました。

理科の言葉で言えば、これは振動の伝播の問題です。地響きも足音も、どちらも振動現象です。

合理的

巨大不明生物が進行すると、「足音」よりも「地面の振動」の方が早く到達するはずです。

音の波が伝わる速さは、空気中でおよそ340m/s、水中なら1500m/s前後です。

一方、地上・地中を「振動」の波が伝わる速さは、たとえば地震波の場合、地質によって違いますがP波で5000~7000m/s、S波で3000~4000m/sです。文字どおり、けた違いです。

ですから、足音よりも早いタイミングで座席をふるわせていた4DXのやり方は、たいへん理に適っています。ああそういうことかと感心しました。

立体的

冒頭の4DXは「この音の発生源は、地面の振動と時間差が生じる距離にある」という解釈でプログラムされていました。

なんなら「巨大不明生物」の姿もまだ確認できず、なんなら何者であるかすら認識できず「だったら発生源は何なんだ?」と不審になれる距離感です。

劇中、東京湾アクアラインの非常通路に響く音に「え?なになに?」と、避難中の「カップルの女」たちがうろたえていました。前田敦子さんらが見せたあの感情を共有できます。

2016-09-22_1109

画像はYouTube: Shin Godzilla – Godzilla Resurgence | official US trailer (2016)|moviemaniacsDE(2016/09/12付)より

空間的な広がりを感じさせ、かつ共感性も高い演出でした。迷った末に追加料金分出して4Dにしたかいがありました。センスよかった。

以上すべて「意図的にやった」が前提です。実はぜんぜん違ったりして。

その他GJ

あと4DXはエアの使い方もうまかったです。未体験の方へのネタバレを避け、詳しくは述べません。

難点は、「誰やねん」問題

ひとつ難点を挙げると、視点がくるくる変わることです。慣れるまで「オレ、誰やねん」と戸惑います。この点、MX4Dも共通です。

まとめ

以上、「シン・ゴジラ」の4DXが理科わかってた話でした。

おことわり

一点、おことわりしておきます。

当記事で述べているのはあくまで「シン・ゴジラ」の場合での比較論です。「4DX」「MX4D」全体の一般則ではありません。

私自身、どちらの4D上映方式も「シン・ゴジラ」が初めての体験であり、まだ他の作品の鑑賞経験もありません。

Webサイトを読んだ感じ、両方のハードウェアでできることは大差なさそうなので、要は演出効果のプログラミングセンス次第なんだと思います。

だからMX4Dのプログラミングもまだまだやれるはずです。ちょいちょいいなたいセンスに思えただけで、観客に楽しんでもらおうという誠実さは感じましたので。

むすび

話はここに集約されます。

勉強の歌(1991)
森高千里
¥250

ほんとこれ。勉強はしないよりもしておいた方がいいわ。

だからもっと理科がんばれダイナモアミューズメントの特殊効果プログラム班。

おわり

コメント

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