吉本隆明からの東大つながり―7月14日「あすなろラボ」林修さん授業感想(2)

こんばんは。林修ナイトの時間です。

7月14日の「あすなろラボ」で放送された、林修さんの母親向け授業に対する感想シリーズ、その2です。

林修さんが読んだ吉本隆明の文章「わたしが料理を作るとき」の初出

番組で林修さんが、「馴致」という言葉に解説を加えながら読み上げた吉本隆明の文章は、「わたしが料理を作るとき」でした。

この文章が収められた『背景の記憶』の初出一覧には《(74・12)「マイ・クック」》とあります。

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で、「マイクック」ってなに?

で、「マイクック」ってなに?

そう思って検索してみると、「ヲトメの素人古本 はなめがね本舗」というサイトが、最も情報が充実していました。こちらのサイトは「乙女のためのかわいいレトロ古本のオンラインショップ。」だそうです。いろいろと、ニッチな商売があるもんですね。

それはさておき、マイクックです。商品説明ページのマイクック No.380 (1966年8月号)によると、

辻勲さんが設立した日本割烹学校の機関誌「マイクック」。(略)
星新一、寺山修司らが寄稿していた読みものも
ご婦人の心をくすぐる充実ぶり!

だそうです。なるほどそういう雑誌なんですね。ただし「辻勲さんが設立した」は正しくないと指摘しておきます。後述します。

なお、誌名の表記は中黒(・)のない「マイクック」に揃えました。載っていた表紙画像にも中黒は入っていません。

やばいこれ。読みたい

ちなみに、この号の特集は「カレー料理」。そして何より目を惹かれたのがこれ。

■共ばたらき夫婦論
わたしたち結婚して一年四ヵ月です…岸田森/悠木千帆

なにこれ。超読みたい。

ロックな補足

ご存知でない方のために補足しますと、「悠木千帆」というのは、樹木希林さんの前の芸名です。この改名の経緯がまたぶっ飛んでいてたまらないのですよね。興味があれば検索してみてください。

樹木希林さんこそが、真のロックですから!

僕はそう断言します。余談でした。ヨロシク。

マジでやばい。絶対メシウマ

はなめがね本舗には、雑誌「マイクック」の在庫が何号分かある(あった)ようで、ほかの号からも抜粋すると、

■共ばたらき夫婦論
わたしたち結婚したばかりです…緒形拳/高倉典江
体験的My Cooking論…ドクトル・チエコ
■料理の味
お台所をたずねて(2)高橋圭三さん宅
世界のヤングレディたち(2) イタリアの休日…小森和子
わが家の味…伊丹一三

マイクック No.378 (1966年6月号)

■味・あちらこちら
わが家の味<京風田舎料理>…藤純子

マイクック No.382(1966年10月号)

■味・あちらこちら
お台所をたずねて(8)仲谷昇・岸田今日子さんのお宅
■よみもの
小説«博士と殿様»…星新一
随想«ちゃらんぽらんのすすめ»…田辺聖子

マイクック No.384(1966年12月号)

■辻勲の人生味覚対談28
食べものの貧しい国!…(お客さま)司馬遼太郎

マイクック No.388 (1967年4月号)

とまあこんな具合です。なんなんですかどれもこれも。これだけでご飯何杯でもいけそうですよ。

マイクックいいですね。置いてある図書館探そう。

肝心の、吉本隆明の文章が載った1974年に関しては情報がなかったのですけど、それはそれでいいです。楽しかったから。

東大つながりできました

先に引用した「はなめがね本舗」サイトの「マイクック」の紹介文にあった「辻勲さんが設立した日本割烹学校」ですが、これは誤りです。調べたところ、日本割烹学校の創設者は辻徳光でした。辻勲の父にあたる人物です。詳細は別の機会に書きます。

でもって、日本割烹学校の流れを汲む学校のひとつが「あべの辻調」こと、辻調グループです(リンクは学校案内サイト)。

そして「あべの辻調」のCMコピーといえば、そう、

「僕は料理界の東大へ行く」ですよ。

これで、東大つながりできました。

東大出身の林修さん → 吉本隆明 → マイクック → 日本割烹学校 → 辻調グループ → 料理界の東大

です。そう、感想その2は「こんな東大つながり」であります。

かつての料理界の東大、いまは…

調べていてちょっと面白いブログ記事を見つけたので引用します。ブログ「映画的日乗」の「辻調理師専門学校50周年。」(2010年3月15日付)より。

開校から50年。事務局の方が、東京やフランスに分校も出来、在校生も飛躍的に増えたので「いまや料理界の日大ですわ」と冗談。

かつての「料理界の東大」が、「いまや料理界の日大」ですか。まさに、誰がうまいこと言えと。

そして物語はつづく

さて、辻徳光と日本割烹学校に端を発する流れをいろいろ調べてみると、なんだか面白げなのですが、それはまた、別の機会に。

コメント

  1. こんにちは!お店のアクセス記録から辿り着きました!
    ブログで当店をご紹介いただき、ありがとうございます。
    マイクック、ほんとうに良い雑誌です。
    さらに、わたしの早とちりも発見していただき本当にすみません・・・。
    お店の表記もそのうち修正させていただきます。
    辻系の料理学校についての記事もとても面白かったです。
    また拝見させていただきます。

  2. ヤシロタケツグ より:

    はなめがね本舗さま
    ご訪問、ならびにコメントいただきありがとうございます。

    貴店を見つけた経緯は記事に書いたとおりです。素敵なご商売をされているなと思いました。
    多少なりとも、そちらへのアクセス増につながったのでしたら、うれしいです。

    他の記事も見ていただいたようで、光栄です。
    今後も気の向くままに記事を出し続けていきますので、何かアンテナにひっかかるものがあればぜひご覧くださいませ。

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