国連の定義による「トラベル」と「トリップ」の違い

こんにちは。

「観光」について調べていると、「トラベル」と「トリップ」を定義している国連世界観光機関(UNWTO)の文書に遭遇しました。

なるほどそういう違いがあるのかと勉強になりました。

「これが正解」と主張するつもりはありませんが、類似語のニュアンスの違いを知る一助になるかとは思います。

要約:Executive Summary

国連機関の文書での定義を大ざっぱに述べると

    • 3歩歩けば「トラベル」
    • 家に帰るまでが「トリップ」

です。

出典

International Recommendations for Tourism Statistics 2008 (IRTS 2008)(PDF)

トラベル

2.4. Travel refers to the activity of travellers. A traveller is someone who moves between different geographic locations for any purpose and any duration.

(試訳)
トラベルとは、トラベラーの活動を指す。トラベラーとは、その目的・期間を問わず、異なる地点間を移動する人のことである。

どこに「different」の線を引くかという問題はありますが、これを読んだ私の印象は「3歩」でした。

トリップ

2.7. A trip refers to the travel by a person from the time of departure from his usual residence until he/she returns: it thus refers to a round trip. A trip is made up of visits to different places(略).

(試訳)
トリップとは、ある人が、ふだんの所在地を出発した時点から、戻ってくる時点までのトラベルを指す。つまりラウンドトリップのことである。トリップは、異なる場所への訪問で成り立つ。

なるほど、「戻ってくる」というのがトリップの重要ポイントだとわかりました。いっちゃったきりの行きっぱなしはトリップにならないわけですね。

不可算と可算という違いも

英文法的には、ここでの「トラベル」は不可算、「トリップ」は可算という違いも見られます。

参考:ジャーニー

ならば「ジャーニー」はどうなのか?という向きもあるやもしれませんので、触れておきます。

この文書には一度だけjourneysが出てきます。

8.11. In the context of the balance of payments of a country, the term “travel” does not refer to all activities of individuals while on visits outside their country of residence but only to the value of expenditure of individuals during these journeys. (後略)

【大意】

カネにまつわる文脈では、「トラベル」も旅行中に使うカネ限定の意味だからね。

ほぼ「トラベル」の言い換えで「journeys」が使われているように見えます。

余談

UNWTOの駐日事務所が奈良にあると知りました。

差別意識を自覚しつつ率直な感想を述べます。

「奈良て」

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