ウィトゲンシュタイン哲学を実践していた有吉弘行さん―語るまでに準備したいこと

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こんにちは。

この記事では次の2つのことを書きます。

  1. 語るまでに準備したいこと
  2. 有吉弘行さんの小金稼ぎ

タイトルとは逆に、この順序で書きます。

語りたい。でもその前に

ツイッターのタイムラインを眺めていると、こんなツイートが目に留まりました。

有吉さんが政治関係のテーマで毒舌コメントふられた際に「わかりもしないこと語るとロクなことならないんで」ってスルーしたっていう話聞いて(略)出来れば自分もわかりもしないことはスルーできる人でありたいと思うなど。

このツイートを見ての僕の最初の感想は「だったらこの件もスルーできなきゃダメでしょう」でした。皮肉なことに、発言者さんは自分の願望に反し、たったこれだけの情報に反応してツイートしたことによって「わかりもしないことはスルーできる人」でなくなってしまっています。

2つめの感想。僕はこの「有吉さん」のエピソードについて「語りたいな」と思いました。けれども、語る前には次のことが必要でした。

せめて一次情報は確認したい

ふわっとしすぎな情報

語りたいのですが、前段で引用した「有吉さんが…っていう話」は、ふわっとしすぎています。

  1. まず、いつどこでの発言かが分かりません
  2. 次に、発言を直接耳にしたのではなく、「こんなこと言ってたと聞いた」伝聞形式の「二次情報」であるのも気になります
  3. さらに、140字以内のツイートで求めるのは酷な面もありますが、発言者さんがどこでこの情報を得たかもはっきりしません

出所のはっきりしない話は書いてはいけません。少なくとも僕自身は、そうした話を書かないように心がけています。嘘・デマ・偽情報の再生産に加担する危険があるからです。

ただ、出所がはっきりしないけれども、それでも書きたい場合もあります。その場合は、はっきりしない旨を明記することにしています。

自分語りが過ぎました。

有吉さんが実際に何と言ったか。そしてそれはどういう文脈だったのか。それを知りたいので、発言の出所の確認に取りかかりました。

出所確認作業のプロセス

ここまで前提なしできましたが、「有吉さん」というのは、「毒舌」というキーワードがあることからも、有吉弘行さんのことで間違いないでしょう。実際、最初からそのつもりで読んでもいました。

Google の検索窓に、「有吉弘行」のあとに、発言したとされる内容からキーワードを適当に抜き出して並べて検索しました。

ちなみに、検索ワードを「有吉弘行」とフルネームにするのは、求めたい情報を検出する精度を上げるためです。「有吉」だけだと、既に語ってしまっているページが検索結果に混入する確率が高いだろうからです。

出所確認の結果

そうやって検索を何回か繰り返し、出所と言えそうな有吉さんの発言を突き止められました。

有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMERというラジオ番組での発言でした。2013年6月16日放送分です。

有吉さんはこんなふうに言っていました。

見たよこれ、YouTube かなんかで。ま、ま、どうでもいいけどね。どうでもいいですよ。政治にかかわるとロクなことがないからね。かかわりません僕は。

尾ひれがついていました

この発言がベースだとするならば、最初に引用した中では「わかりもしないこと」と、元の発言にはない「尾ひれ」がついています。まだ致命的とまでは言えないにしても、情報はこうやって歪められていくんですね。注意しないとね。

コンテキスト

有吉さんがラジオ放送中にコメントを求められた「政治関係のテーマ」とは、この前日(15日)に起こった「橋下徹 VS 水道橋博士」のニュースに関してでした。確認の意味で、こちらの経緯を簡単に書いておきます。

生放送のテレビ番組に出演した橋下徹さんが「小金稼ぎのコメンテーター」と発言したことに対し、同番組のレギュラーコメンテーターだった水道橋博士さんが「僕、今日で降ろさせていただきます。違います」と放送中に退席しました。その後橋下さんはツイッター上で発言を撤回し、水道橋さんに謝罪しています。

僕としては、これにコメントすることが「政治に関わる」になるのかという疑問はありますが。ま、ま、どうでもいいです。本筋ではありません。

小金稼ぎと「語り得ぬもの」

有吉さんのスタンスに、次の言葉が思い浮かびました。

語り得ぬものについては、沈黙しなければならない。

そう。ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』の最後の一文です。なんだか通底するものを感じます。

そこで生じた疑問です。

有吉弘行さんは、この言葉を知っているのでしょうか?

知っていた

調べてみると簡単に判明しました。答えはこうです。

知っています。「常に意識している」「覚えている」かはともかく、少なくとも「聞いたことがある」ことは間違いありません。

なぜそう言えるかというと、有吉さんはこんな本を出しているからです。

古今の哲学者による100の言葉をお題に、有吉さんが「毒舌訳」し直すという趣向の1冊です。

有吉さん、小金稼いでますね。

この中に先ほど挙げたウィトゲンシュタインの言葉が入っているかを確認したくて本屋さんに行き、入っていたので買って帰ってきてしまいました。

まんまと術中にはまっております。勝手に。

毒舌訳のウィトゲンシュタイン

『毒舌訳 哲学者の言葉』において、有吉さんはウィトゲンシュタインの

語り得ぬものについては沈黙しなければならない

を、

能書き垂れるバカは抹殺すべし!

と「毒舌訳」しています。

有吉さんはこんなコメントを付けていました。同書より引用して紹介します。

一番その場にいてほしくないのが、能書き垂れるバカ。
何でもかんでも能書き垂れて、聞かれてもいないのに、やたら自分の知識をひけらかそうとするバカ。
(略)

いちいち能書き垂れるヤツ。誰もそんなこと聞いてもいないし、知りたくもないのに、得意そうな顔して言うヤツ。

(有吉弘行『毒舌訳 哲学者の言葉』(双葉文庫) pp.142-143)

そうですね。まるっきり僕のことですね。

有吉さんは「能書き」を「ウンチク」と区別し、両者をこう定義しています。引用続きです。

思うに、聞かれたときに答えとして発信するのが「ウンチク」。
誰も聞いていないのに、勝手に独り言のように押しつけ発信するのが「能書き」。
似てるようで、まったく違う。

(同書 p.143)

そしてこうたたみかけます。続き。

楽しくお酒を飲んでる席で、能書き垂れるバカがひとり混ざっていると、その場の空気が殺気で凍りつきます。
そういう能書き垂れるヤツには、迷わずこう言ってやりましょう。
「能書きはいいから、さっさと帰れ!」

(同書 p.143)

ウィトゲンシュタインの言葉についてだけまず確認したかったので、まだ全部読めていません。残りも楽しみです。

僕も能書きはこれぐらいにします。

おことわり

以下の3つの理由により、もとのツイートの発言者を示すのは控えました。

  • 経緯は不明ながら、当該のツイートが現在削除されていること
  • 当人を批判する意図はないこと
  • 技術的な問題として、削除されたツイートの埋め込みコードが(手持ちの機能では)生成できなかったこと
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コメント

  1. 名無し より:

    「能書きたれるバカは抹殺すべし!」wまさにその通りと思いつつ自分にも覚えがあるので戒めないと…。
    でも語りえぬものには〜って、そういう意味だったかしら?という疑問が残る

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