「今でしょ!」生みの親を紹介します:(2)九内俊彦さん

こんばんは。林修ナイトの時間です。

前回からの続きです。

記事の要約:Executive Summary

「いつやるか? 今でしょ!」がブレイクするお膳立てをした「生みの親」といえる人物は2人いる。

  • ひとりは、前の記事に書いた阿部広太郎さん。
  • もうひとりは、九内俊彦さん。

九内さんの働きにより「今でしょ!」の性格が確定した。

「今でしょ!」誕生まで (2)成立編

九内俊彦さんとは

九内俊彦さんとは、宝島社から出ている林修さんの2冊の著書の編集者です。林修さんのブログでは「Qさん」の名前で登場します。もちろんこれはニックネームで、姓は「くない」と読むようです。

『いつやるか? 今でしょ!』の巻末で、林さんが九内さんへ謝辞を述べられていますので引用します。

そして最後に、僕に声をかけてくださり、本を書くのが初めての僕を励まし、なんとか出版まで導いてくださった編集の九内俊彦さんに感謝の意を表します。(p.191)

この経緯から見て、林修さん初の著書のタイトルを『いつやるか? 今でしょ!』に定めたのは、九内さんだとみて間違いないものと推定します。

そこで当ブログでは、九内俊彦さんを2人目の「今でしょ!」生みの親に認定します。

『いつやるか? 今でしょ!』の功績

なぜなら九内さんが、著書のタイトルによって「今でしょ!」の“記譜法”を確定させたからです。そしてこの表記こそが、林さんの発したその言葉の性格を決定づけたのです。

著書のタイトルにより、「今でしょ!」の“記譜法”が確定した

当方で確認した限り、『いつやるか? 今でしょ!』の発売された2012年3月より前に「今でしょ!」と定常的に表記された例は、少なくともオフィシャルなものからは見つけられませんでした。「今でしょ!」となっているのは、すべて著書発売より後のものと思われます。反例があればご指摘いただけますと幸いです。

はじめは「今でしょう」だった?

例の林さんの言葉が、東進ハイスクールのCMに初めて登場した2010年当時は、「今でしょう」と表記されていたようです。※

YouTube で、当該のTVCM 東進ハイスクール 「生徒への檄文篇」を観ますと、ここでの林さんの言葉を採譜するならば、たしかに「今でしょう」が妥当なように思います。

※(2013/6/15追記)「最初から、いつやるか、今でしょ です」とコメントいただきました。証言ありがとうございます。
見出しを2箇所修正しました。

「今でしょう」の例

まず、2011年9月から始まった林修さんのブログのタイトルは、《「いつやるか? 今でしょう」と始めた林 修の日々雑感》です。

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現在の東進ハイスクールのサイトおよびWeb広告では、「今でしょ!」も見られるなか、「今でしょう」が残っている例を確認できます。採集した画像を貼っておきます。

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「今でしょ」「今でしょう」から「今でしょ!」へ

最後の「う」が「!」になっただけではないか、とお思いの向きもあるかもしれませんが、奏法ならばレガートとスタッカートぐらい違います。決して侮れるものではありません。

「歴史に『もし』はない」と申しますが、もしあのとき、矢部浩之さんが「。」を「要ります」としなかったなら、モーニング娘はモーニング娘。のような成功を収めることができたでしょうか。

それはさておき、2013年1~2月に放送され「今でしょ!」を広く知らしめる役割を果たした、トヨタの「ナビ代5万円プレゼントキャンペーン」のCM。そのタイトルは、いつ買うか?今でしょ!篇です。

「今でしょ!」ですね。『いつやるか? 今でしょ!』の返歌にもなっています。

このCMで、林さんは15秒間で3回「今でしょ!」を繰り返しています。そしてそのもの言いは「今でしょ!」以外の何ものでもありません。

東進からTOYOTAへと至る過程はまるで、ジョン・コルトレーンの《マイ・フェイヴァリット・シングス》の演奏の進化のようです。

初演と名演の比較

つまりこういうことです。後藤雅洋『ジャズ・オブ・パラダイス―不滅の名盤303』(1988, 1994)より。

’60年にアトランティック・レーベルに吹き込まれたこの曲の初演が、テンポもゆったりとしており、ある意味では慎重に演奏されているのに対し、3年後のこのアルバム【※セルフレスネス】では、テンポも速く、より力強く激しく、そして自信に満ちて演奏されている。

それぞれ比べてみましょう。

ジョン・コルトレーン《マイ・フェイヴァリット・シングス》の場合:

曲冒頭の30秒弱ではありますが、リンク先のAmazon.co.jp ページでサンプルが聴けますのでご存知でなければ聞き比べてみてください。

まずは、初録音の《マイ・フェイヴァリット・シングス》(1961)
マイ・フェイヴァリット・シングス(+2) 

そして、代表的名演の《マイ・フェイヴァリット・シングス》(1963)
セルフレスネス・フィーチャリング・マイ・フェイヴァリット・シングス 

林修「いつやるか? 今でしょ!」の場合:

動画ページへのリンクを再掲します。画像はリンク先より拝借しました。

まずは、初収録の東進ハイスクールTVCM 「生徒への檄文篇」(2010)
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そして、代表的名演のTOYOTA・ナビ代5万円プレゼントキャンペーン「いつ買うか?今でしょ!」篇(2013)
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なんだか、そっくりではありませんか。

おわりに

林さんは、先日放送された特別授業の中で、ご自身を「音楽才能ないから」と言われてましたが、この流れを見ていきますと、全面的にそうとも言い切れないのではないかなと、僕は思います。

そして気の早すぎる話ですが、もしも「今でしょ!」が、2013年のユーキャン新語・流行語大賞の年間大賞を受賞した暁には、林さんには授賞式で阿部広太郎さん・九内俊彦さんのお2人に対する謝辞を述べてもらえるとうれしいなと、ひそかに願っております。

ご静聴ありがとうございました。

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