林修さんと岩瀬大輔さんの「SWITCHインタビュー」(2)(2013年12月14日OA)

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こんばんは。林修ナイトの時間です。

林さんの出演された12月14日の「SWITCHインタビュー 達人達」(NHK・Eテレ)をテキストにしています。(1)のつづきです。

現代文の本質とは?

林「これどういう科目なのかというとですね、三角関係のなかにおいて、コミュニケーションが取れるかっていう科目なんですよ」

林「(板書しながら)世の中には、筆者っていう人間がいるんですよ。まあ、毎日毎日たくさんの本が出版されますよね。もうこんなに本があふれてるのに、なお、人に伝えなきゃいけない新しいことって発見されてます? そうするとですね、この人の特徴として世の中に出てることは間違ってて俺が正しいって書くんですから、世の中ではこうこうこうこう言われてるんだ、だけどみたいに、ちょっと話がややこしくなるんです。いろいろなたとえを使ったり、いろいろこう説明を長く書きますよね。と、結果的に何が起きるかっていうと、安い定食屋の天丼とか食べられたことあります?」

岩瀬「たまに、間違って入っちゃったりしますね」

林「海老が、このくらいしかないのに、こんな衣が付いてる。海老はどこだーってことが起きるんですよ。それがプロの書く文章です。何が言いたいかよくわからなくなるんですよ。でこれをですね受験生が読まされるわけですね、読めと。でここに出題者って人が勝手に出てくるんです。間に入ってですね。だいたい三角関係っていうのはもつれるって相場が決まってまして」

林「ここが恐ろしいところで、出題者って大学教授ですよね。大学教授ってどういう人ですか? 論文を書いて、教授になっている人がほとんどです。本書く人なんです。筆者なんです。だからこの人(筆者)の気持ちがわかるんで、普通だったらこの衣だらけでどこが海老だーっていう文章を読んだときに、はい海老ってわかる人なんです。そう、実はここ(筆者と出題者)、グルなんですよ」

岩瀬「グルだったんですね」

林「こういう構造なんですよ。さあ、こういう共犯関係が成立しているところで、もうほんとにかわいそうなのはこの受験生です。わけのわからん文章を読まされると。でこの受験生というのは、出題者、大学教授、大学教授と書きましょうかね(板書)、から見たときに、不合格にしてしまえば赤の他人です。合格通知を送って入学手続きをすると、自分が面倒見なきゃいけなくなるんですよ。そのときにですね、実際に大学入ってきましたと。大学の授業ってやっぱり文章を読んで、テキストを読みながら授業を進められますよね。そのときに、ここに書いてあることこうだよね。え、そんな意味なんですか。ここに書いてあることこうでしょ。え、全然わかりませんていう生徒来たらめんどくさくないですか。とすると、自分と同んなじわかり方をするかどうかをチェックするんです」

岩瀬「なるほど」

林「だから現代文っていうのは文章を読んでいろんな感じ方があっていろんな答えがあっていいっていうのはまったく違うんですね。この、プロの物書きの伝え方が一瞬でわかるこの人のわかり方に合わせる能力があるかどうかを見てる、コミュニケーションの科目なんです」

林「これだから現代文の問題って失礼だと思いません? 筆者の文章を勝手に、借りてきて勝手に線引いて、どういうことって聞くってことは、お前の日本語はわかりにくいぞって言うようなもんです。ずいぶん失礼ですよ、この科目」

林「しかし、ものを書く人間が、単に失礼では終わらないんですよ。これは単に失礼では終わらなくて、この人(出題者)のこの人(筆者)に対するリスペクトでもあるんです」

岩瀬「聞いてて引き込まれますよね。楽しい」

岩瀬「読み解く力というか、このゲームのルールを知ったうえで読み解く力を試すっていうのが、ちゃんと伝わるから生徒の点数が上がるんでしょうね。現代文の授業でこんなの聞いたことなかったような気がします」

林「このルールを守らないで自分でルールを作ると、それはあなたの価値をね、計ることではないけれど、ただこのゲームでは点数はもらえない。そういう言い方をするんですね」

岩瀬「あの頃に戻れば、現代文もうちょい点数よく、なったかもしれない」

林「すぐ簡単に点数取れると思います」

林修プロフィール

  • 1965年名古屋生まれ
  • 祖父は日本画家。父は大手企業の副社長
  • 1984年東大現役合格
    合格発表は、落ちた子がかわいそうだからと見に行かなかった
  • 大学時代は家庭教師で月収50万円
  • 日本長期信用銀行に就職
    ところがあっという間に退職

@東進リーダー塾御茶ノ水校 セミナールーム

岩瀬「就職されて、で何年ぐらい」

林「5か月で」

岩瀬「それはなんで辞められたんですか」

林「うーん、まあ空気が合わなかったとしか言いようがないですね」

岩瀬「花のバブル入行組みたいな感じで」

林「ほんとそうです」

岩瀬「すごく反対されませんでした? びっくりされませんでした」

林「いや、それは大丈夫です。隠してましたから。親は名古屋にいましたから、別にそれはばれなかったんで問題はないんですけれども」

林「もともと迷ったんですよ。で入ってみて、しまった!っていうのはあったんです、ひとつは。ここじゃなかったな、っていう。時はバブルで、やっぱり熱い。自分たちがお金を世の中に回して世の中は俺たちの力で動いているっていうようなことを平気で言う人たちもいて、無限に経済が膨張していくような話をされる。それはどう考えても景気は循環するものであるという認識を持っていた僕には」

岩瀬「バブルの頃そういうこと言っている人ってほとんどいなかったんじゃないですか」

林「いなかったですね」

岩瀬「なんか今の話ってすごく理解できるんですけど、ほんとは実はまたそれとちょっと違う、なんか理由があったとかないんですか?」

林「あのねぇ言いますけど、長銀の内定式に集まったときに、(指折り数えながら)東大京大早稲田慶應、上智、ICU、関東これだけ。もう、大学でもう絞っちゃってるんですよ人数を。それ以外の人のはもう書類全部はねつけてると、そんな人の選び方してる銀行はダメだと。何をやってんだここはと」

岩瀬「それででも5か月で辞められてからどうされてたんですか?」

林「何も考えないで辞めたんで、何も考えないで辞めると何もできないってことがよくわかりましたね。ほんと計画的に、行動しないと。いやもう、ほんとその日暮らしですね」

岩瀬「そうなんですか。それでいろんなアルバイトとかやられてた」

林「でも、なんかいろんな知り合いがいたんで、まあ投資顧問のような会社を作ってみたり」

岩瀬「そういうこともやられたんですか」

林「ことごとく、つぶれていきましたね、はい。あの時代にねぇあんなにねぇうまくいかないっていうのは珍しいことですよ」

岩瀬「じゃあ商売は意外と向いてないんだなっていう」

林「だからああ向いてないなと思いましたね。どうもそっちの方面は才能ないし、このままやっていくとほんとに大変な額になるだろうと、さすがにここは、考えなきゃということで、まあ教える仕事はまあまあ昔もうまくいってたんで、ちょっと戻ろうかと」

ナレーション)ギャンブルと株の売買で気づけば、1800万円の借金を抱えていた。追い詰められた林は、借金を返すため、予備校講師の道を選んだ。当初は、現代文ではなく得意教科の数学の講師だった

勝てるレースの選び方

林「いちばん得意なの数学なんで、数学でチャンスくれと言ったら、じゃあ数学やってみろと。数学で公開授業をやらせてもらってですね、生徒を集めて、やったら評判もまあまあ。じゃあ数学で採用と、決まったときに考えちゃったんですよ」

岩瀬「何考えたんですか?」

林「数学で勝負するのはきついなと」

岩瀬「なるほど。理系の先生もいっぱいいらっしゃいますよね」

林「そうなんですよ」

林「ブルーオーシャンとレッドオーシャンのようにね、血で血を洗うレッドオーシャンと、きれいなブルーオーシャンと、僕、ずっとブルーオーシャンを探してきたんで、これはもうほんと内緒ですけどパンフレットじっと見たときにどっちの敵が厳しいかなと。数学の敵は、数学はレッドオーシャンだと、これは血を血で洗う戦いになると。それに対して現代文の先生見たときに、なんてのどかな世界だろう」

岩瀬「そのときはでも自分がこれやりたいっていうよりも、どこで戦う方がいいんだろうかっていうのを考えられたんですね」

林「昔から仕事はやりたいかやりたくないかでは決めないっていう考えを持ってましたから、やれることか、やるべきことかと」

林「やりたいことはお金を払って趣味でやればいい。お金をもらってやる仕事は、責任を取れるように、っていう考えだったんで」

ナレーション)予備校講師にとって、授業は商品。林はその品質管理に手を抜かなかった。東大の入試問題30年分を徹底分析。どの年に誰の文章が出題されたか、どんな設問だったか、すべて頭に入っているという。授業で使うお手製プリントも名物だ。文章を構造的に把握せよという林の教えがひと目でわかるようになっている

林「それはもう当然ですよね。そんなことは。東大特進コースで現代文担当する、それはもうやって当たり前のことで努力でもなんでもないですよ」

林「いやもうほんとに、仕事のことで努力しているっていうことを言う人、僕は仲良くなれないですね。当たり前なんで」

いつやるか? 必勝プレゼン法

再びセミナールーム

岩瀬「授業をやる際に、意識されることってありますか。たとえば僕、プレゼンテーションについてはよくしたり見たりして、考えることがあって。たとえばちゃんと準備するとか、あとサビから入るとかですね、あとはきはき明るくするとか、あと相手の疑問とかを先回りして想定してそれに答えるような準備をするとか」

林「まず、ちゃんとマクラを用意すると。導入部分を作って入る。でも僕の場合は岩瀬さんと違って、単に話したいことがあるって(いう)、その日に見つけた。で、これ絶対笑いが取れるなっていうのを取りにいくだけで、全体の構成を考えるっていうことではないですね。だから受けると気分がよくて、マクラだけで延々と30分ぐらいやっちゃうとか、そういうこともありましてですね」

岩瀬「落語ですね」

林「そうですね。それ実際に一時やってまして、マクラが終わると上着を脱いでたんです。噺家さんが、こうマクラから」

岩瀬「やりますよね」

林「ええええ。ところが生徒はそういう日本の麗しき風習を知らないもんですから、全然気づいてくれなくて、で、やめました」

林「で、同じような考え方でやってるなと思うところがありまして、出そうな質問を想定して、授業のなかで解説していってしまうと。どういう講師がダメに見えるかと、僭越ですけどどうせこの業界の嫌われ者なんで、遠慮なく言うならば、毎年同んなじ教材ってけっこう授業で出てきたりするんですね。同んなじ質問を毎年されてる先生がいるんですよ。もうプロではないなと。僕なんかだったら2回でも同んなじ質問が出たらなぜその質問が出たんだろうか、どこが甘かったか、こういうふうに手を打っておけばこの質問は出ないはずだっていうふうにして、封じ込めていくのに、毎年同んなじ質問がたくさんの生徒から出て、それについて一生懸命説明されて、休み時間がつぶれている先生を見ると、あまり適性は高くないなと」

林「だから質問が出る授業は最低だと思ってるんで」

受験は人生に必要なのだ

ナレーション)林は8か月で5冊の本を出版。その中で、受験のために勉強ができるのは贅沢なことであり、勝ち負けがはっきり出る場に向き合うことは人生の財産になると説く。 /* 『受験必要論』pp.10-11あたり */

/*
「8か月で5冊」は事実ですが、画面に映っていたラインナップが1冊違いました。『いつやるか?今でしょ!』は、2012年の発売です。

恐らく、12月に出た小池百合子さんとの対談本『異端のススメ』が間に合わなかったための苦肉の策と思われます。
*/

岩瀬「ほかの番組で拝見したときにすごくいいなあと思ったのが、生徒に、生きる指針みたいなものをお話しされている場面があったんですね。こういう学校に行ってどういう心構えでやるべきだとか。大学とかって、科目は教えてくれるんですけど、その、生き方とか、を教えてくれる場がなかったように感じて、そういう意味で予備校が単に授業を教えるだけじゃなくて、生徒の生き方とかをインスパイアするようなお話を、たぶんされてることも、授業がわかりやすいことに加えて、生徒が熱いものを感じる理由なのかなあと」

林「僕らがやることは、生徒を自分が行きたいと思う大学に行く背中を押すこと。ただ、じゃあその大学っていうのはどういう場所で、何のために大学に行くかっていうことは、われわれの仕事の延長線上にあると判断しても、まあいいんじゃないかっていう思いなんです。だからそれ以上のことはあまり言わないんです」

岩瀬「そうなんですか。そこらへんは意識してやられてる」

林「そうですね。大学に入ることが目的になられたら困るんですよ。大学なんて、今平均寿命が80何年ですよね。普通だったら4年在籍するだけの一時的な、まあ仮の宿ですよね。その仮の宿にたどり着くことが人生の究極の目的になるような価値観では困るんで、そこを通過点というよりもっと言えば踏み台として、どう先へ進んでいくかとそういう意識の中に、それこそ東大であり京大であるっていう大学を位置づけないと、それは意味がないよっていうことは言います。それにはひとつ自分が東大って世界を見てきたことも役には立ってますね」

林「きちっと学生生活を送って、自分の立てた目標を実現する。その実現のためには、どういうことをどういう手順でやればいいかっていうことを、自分で考えて明確に実現していった、まあ素晴らしい先輩であったりとか同期を見てるわけですよね。こういう人たちがいる、こういう人たちに会えるから今の勉強に意味があるんだよっていうような、そこまでを伝えると。でそっから先社会に出てちゃんとやるかどうかは」

岩瀬「本人たちの問題である」

林「本人たちの問題でもあるし、なにしろこんなアウトローな人生を送ってきた僕ですから、言う資格もないなと。あまりそっから先は言わないようにしてますね」

岩瀬「でもなんか、そういう先生がいちばん、やる気も奮い立つし、言葉が今でも心に残ってますね」

林「やる気を出させるとかって気はゼロなんですよ。よくやる気が出るようにしてくれとかやる気の出る言葉とかっていうけど、自分なりにこうですってことは言いますけど、やる気が出るかどうかは本人次第なんで」

林「本人が自分でやりたいと思うように、そういう思いが高まるように自分の範囲の仕事は一生懸命やります。それだけです」

後半へつづく

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