「2対2同点」へのいちゃもんから、英語と日本語の発想の違いが垣間見えた話

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こんにちは。

地震学者のロバート・ゲラー(@rjgeller)さんが、こんなツイートをされていました。

面白いですね。その発想はなかったです。

この一例から「英語」と「日本語」にまで飛躍させてしまいますが、両者の発想の差が垣間見えました。

なお念のため付け加えておきますと、ゲラーさんは日本の大学で研究されているアメリカ人です。

英語的発想の「2対2同点」

ゲラーさんは、「2対2」に続く「同点」を、英文法で言うところの限定用法的にとらえています。

図で書くと、こんな感じでしょうか。

英語的な「2対2同点」
1. 英語的発想の「2対2同点」

「2対2」と呼ぶ状況がまずあって、後ろに「同点」を付け加えることでその一部に限定している。そんな関係です。

この発想に立てば、「2対2」の中には「同点」と「そうでないもの」「それ以外の何か」があるということになります。

しかし「2対2」といえば、必ず「同点」です。絞り込みができておらず、限定になっていません。なので「2対2同点」を奇異に感じる。

と、そんなメカニズムになっているわけですね。面白い。

英語での「呼び名」の修飾法

この発想と共通するのが、次の例になるかと思います。

ある特定の人物などに「通り名」を付けて呼ぶとき、英語では、

  • 固有名詞 + the + 名詞(句)

という順番になります。思いつくまま具体例を挙げると、

  • Billy the kid
  • Felix the cat
  • DORA the explorer
  • Andre the Giant

などです。最後の例で説明すると、「アンドレ」は世の中にたくさんいるけれども、「ジャイアント」なアンドレといえばこの人、ぐらいの意味です。

このような修飾法そのものの呼び方を調べると、どうやら「epithet」というようです。

日本語の発想での「2対2同点」

一方、日本語を母語とする僕は、これまで「2対2同点」に違和感を覚えたことはありません。

日本語代表を買って出るのはおこがましいですが、ご容赦ください。僕が「2対2同点」と聞いて浮かぶイメージは、こんな感じです。

日本語論理的な「2対2同点」
2. 日本語発想での「2対2同点」

「同点」というカテゴリーがまずあって、その中に「2対2」がある。いろんな同点があるうちの「2対2」という同点だ、ということです。ちょうど、単語間での修飾・被修飾の関係が英語発想とは逆になります。

ただ、この図は見栄を張って論理的な側へ寄せて描き表しております。

より正直に図示すると、こうなります。

日本語的感性での「2対2同点」
3. 日本語における「2対2同点」のイメージ

分析してみれば「2対2」が「同点」を修飾する関係になってはいるのですが、むしろ2つをぽんぽんと並べ置くイメージです。そこに加えて、正体不明の何かがぼやっとまとわりつき、それによって2つのパーツの並置だけではない意味も全体に加わってくる。そんなイメージです。

もっとも、「2対2同点」だとそこに「まとわりつくもの」はほとんどないように思われますので、次で述べる例の方がわかりやすいかもしれません。

日本語での「呼び名」の修飾法

日本語で、誰かしらに「通り名」を付けるとき、通常は固有名詞の前に置くようです。

  • 名詞(句)+固有名詞

という形式です。思い浮かぶ範囲の具体例で言うと、

  • 帝王 マイルス
  • 貴公子 セナ
  • 番長 清原
  • キング カズ

みたいな感じです。こうすると、単にパーツを並べ置いた以上の何かがまとわりついたニュアンスが立ち上ってきている気がします。

「通り名」を付けずに、ただフルネームを使うパターンとでは、いくぶん印象が違っているように思えますが、どうでしょうか。

英語で「2対2同点」は何と言うか

ところで、「2対2同点」を英語では何と言うのでしょうか。それを調べてみました。

まず、同点は「tie」です。試合途中ならtie で、同点のまま試合が終われば「draw」です。答えがわかればなんだとなりますが、いざとなると出てこないものです。

検索して見つけたMLB.com の記事(2013年9月29日付)での用例を引用します。(補足と下線は引用者)

They[The Rangers] beat the Angels, 6-2, on Sunday, scoring four runs from the sixth through the eighth to break a 2-2 tie in what turned out to be a win-or-go-home affair in Texas.

文意としては、「2対2同点」の状況から、6・7・8回に得点を重ねて突き放し、6対2で勝った。ということでしょう(誤読があればご教示いただければ幸いです)。

恐らくゲラーさんも、「a 2-2 tie」にはいちゃもんはつけないかと思います。

あと、得点表記でのハイフン(-)は「to」と読むようです。なので「2-2」は「two to two」となります。

冠詞が効いている?

以下、説明としての十全性は保証しかねますが、自分の理解を書きます。

英語話者にとって、これが「2対2同点」のようにならないのは、冠詞a が付いているからだろうと思います。

  • 冠詞+○○+名詞

のパターンなら、冠詞と名詞にはさまれた真ん中の部分は、後ろの名詞を修飾する関係です。すなわち形容詞のはたらきをします。不定冠詞a があることで、その関係が明確になっているというか、英語ではそういうルールになっているというか。

なおこのパターンにおいて、真ん中の形容詞句が2単語以上になると

  • a 2-year-old child

みたいに、ハイフンでつながれることで、そこが形容詞句であることが明示されます。

まとめ

どこまで普遍性があるかの検証はしていませんが、この事例は、英語と日本語の発想の差が垣間見られたケースであるように思います。

僕はこれまで、英語での「Andre the Giant」のパターンを「同格」的な用法にとらえていたのですが、修正する必要がありそうです。

こちらからは以上です。

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